海外SF

『数学的にありえない』 アダム・ファウアー 文春文庫

一番最初の統計学の講義で、いきなり数学ギャグが爆裂し、笑えるんだが、理系の真面目な人は「数学的に間違ってる!」と怒り狂って本書の評価は低くしそうだが、エンタメとして水準以上。「パスカルの賭け」を否定する論理には大共感した。「数学的にありえな…

『ノーストリリア』 コードウェイナー・スミス ハヤカワ文庫SF

SFと言うより、ファンタシィと言うか、児童文学の美しさがあり、童話と言っては語弊があるが、余分な情景描写や心理描写が無く平易な文でサクサク読めます。裏に潜む世界観倫理観は実は怖い。宗教やマスゴミが存在しない素晴しいユートピアの170世紀の物語w…

『ふたりジャネット』 テリー・ビッスン 河出書房新社

解の無い方程式を平然と説明として出す数学ギャグがはじける万能中国人ウーシリーズに爆笑w

『宇宙の果てのレストラン』 ダグラス・アダムス 河出文庫

銀河ヒッチハイク・ガイドシリーズ第二巻。哲学ギャグの新ネタが実存主義者のエレベーターぐらいしかなくて、ちょっと1巻よりは劣るか?ハイデッガーの現存主義に被れたエレベーターも出して欲しかったw

『あなたの人生の物語』 テッド・チャン 早川文庫SF

SF・ファンタジー短編集。ブに100円であったので買った。100円の価値は充分にあります。モチーフとしては言語学・数学SFが多く、テーマとしては人類進化SFが多い。

『シリウス』 オラフ・ステープルドン 早川文庫

犬の視点から人間を考察した哲学SFの傑作である。

『ゴーレム100』 アルフレッド・ベスター 国書刊行会

マイクル・コナリーのハリー・ボッシュシリーズに出てくるリジャイナ女王様の元ネタがまさかベスターだったとは!コナリー恐るべし!って、ベスター恐るべし!と絶叫するのが普通だが、SF者にはベスターが凄いのは常識なので、凄いのは当たり前。一気読みし…

『類猿人ターザン』 エドガー・ライス・バロウズ 高橋豊訳 早川

バロウズと言えば、「裸のランチ」か「エドガー・ライス」か? というギャグがあったが、 私は断然 「エドガー・ライス」派である。 SFというよりはファンタジィ寄りの冒険小説作家のエドガー・ライス・バロウズであるが、文学的苦悩が滲み出た「類猿人ター…

『銀河辺境シリーズ』 A・バートラム・チャンドラー 野田昌宏訳 早川文庫

チャンドラーを何故思い出したかというと、 最近のSF界はグレッグ・イーガンブームらしくて、「宇宙消失」を読んでイーガンは糞だと看破した私であるが、もっとも信頼出来るリアSF友までが、最近のSFの最高傑作は「ディアスポラ」などと語っていて、さ…

『宇宙船ビーグル号の冒険』 A・E・ヴァン・ヴォークト 沼沢洽治 訳 創元文庫

ヴォクトの最高傑作。 宇宙テーマ、対宇宙生物ものの頂点の作品。この作品に出て来た魅力的な宇宙生物は、高千穂遙の「ダーティペア」や映画「エイリアン」でパクられたことはあまりにも有名。

『オッド・ジョン』 オラフ・ステープルドン 矢野徹 訳 早川文庫

超能力・新人類テーマの最高傑作。

『自由軌道』 ロイス・マクマスター・ビジョルド

宇宙もの+人類進化もの。 無重力の宇宙ステーション内で暮らす新人類に足は必要無い! と遺伝子操作され、足も手になった新人類が登場する佳作であるが、印象的に地味な作品でレビュる気もしなくて、放置していたが、 ネタ切れで記事にしますたw 可も無く不…

『星からの帰還』 スタニスワフ・レム 

普通人が想像出来ないものを 想像してしまう天才レムの未来社会ものである。 タイトルは宇宙テーマものみたいだが、 亜光速で星間旅行した宇宙飛行士は、 浦島効果により、百年後の未来の地球に帰還することになる。「未来への帰還」というタイトルの方が相…

『黒いカーニバル』 レイ・ブラッドベリ 

SF界が生んだ世界最高の詩的な幻想作家。 普通のSF者は「火星年代記」をベストに押すだろうが、 私が一番好きなのは、『黒いカーニバル』に収録されている 「遊園地」である。

『非(ナル)Aの世界』 A.E.ヴァン・ヴォークト 中村保男訳 創元文庫

ワイドスクリーンバロックSFの元祖、ヴァン・ヴォークトである。 超能力、超常現象が吹荒れる不条理世界で、不条理を引き摺って歩く男を主人公にしたヴァン・ヴォークトは一世を風靡したが、超能力の存在を信じてしまい、き○がい扱いされる悲惨な晩年を過…

『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス

泣きSFの最高傑作と言われる「アルジャーノンに花束を」だが、白痴の青年が科学者の実験材料にされて天才になり、また白痴に戻るという構成で、小説は青年の手記の形で書かれているから、白痴時代の文がひらがなばかりのヘタクソな文になって、小説は読み…

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 P・K・ディック

小説も映画もレプリカントが可哀想だがね!と大泣きしたが、 やっぱ映画版の方が判り易くて印象的だな。

『地球の長い午後』 ブライアン・W・.オールディス 伊藤典夫訳 早川文庫

植物フェチSFの最高傑作。 地球の自転が止まり、植物さんが月を絡めとるまでに繁殖してしまうんですぞ! 月軌道まで延びた植物には、ツナワタリと呼ばれる巨大な蜘蛛さんも闊歩します。

『闇の左手』 アーシュラ・K・ル・グィン 小尾芙佐訳 早川文庫

「ゲド戦記」がジブリでアニメ化され、 ブームが来たのか来なかったのかよく判らん ル・グィンだが、 SF界の女王の最高傑作は、「闇の左手」だと思う。雌雄同体の宇宙人が住む惑星「冬」を舞台にした静謐な物語。少女漫画界の女王萩尾望都は、ル・グィンの…

『神の剣悪魔の剣』 リチャード・A・ルポフ  創元文庫

プロローグは色名のキャラ(シロとクロだったか?)が戦うもので、 どこが日本神話なのか判らないが、 本編で日本神話の神々の名を元にしたキャラが出てくるが、 名前を借りただけという印象を受ける。

『死者の代弁者』  オースン・スコット・カード 早川文庫

あの傑作「エンダーのゲーム」の続編。 軍事司令官として敵を大量虐殺してしまったエンダー少年は、 敵の唯一人の生き残りを庇護しながら、静かに生きていた。 が、生きる為には働かなくてはならない。 エンダーが選んだ職業は「死者の代弁者」、 ようは葬儀…

『冬の子供たち』 マイクル・コニイ サンリオ

WINTER'S CHILDRENコニイ作品でこれが一番異色作であろう。これのみが三人称で書かれており、コニイが好む青春恋愛ストーリーの香りがないのだ。本書をコニイのベスト1に押す人もいるぐらいの、色々と騒がれたあの結末。

『カリスマ』 マイクル・コニイ サンリオ

CHARISMAタイトルがタイトルですが宗教小説ではありません。安心して読んでください。コニイの描く主人公というのは結局小市民であり、自分の生活が第一であり、その範囲で善悪に悩み、恋愛を成就させようと行動するだけである。不条理を引きずって…

『ブロントメク!』 マイクル・コニイ  サンリオ

コニイの作品は小説である。伝統的なイギリス小説なのである。淡々と冷静に主人公の人生の断片を描写するもっとも小説らしい小説なのである。コニイの作品を読めるか否かという事は、その人が小説を好きか嫌いかという事でもある。コニイの作品はあまりにも…

『ロイガーの復活』 コリン・ウィルスン  荒俣宏訳 早川

THE RETURN OF THE LLOIGOR 文学教授ポール・ダンバー・ラングは、生きて還れぬ謎の古城で遂に巡り会った最強の古書によりどうなったのか?その結末は「賢者の石」の中で述べられている。本書は「賢者の石」より前の時代のお話である。…

『重力の影』 ジョン・クレイマー 

一応ハードSFだが、重力の影に潜む異世界を利用した出来損ないのアクション小説って感じ?

『ハローサマー、グッドバイ』  マイクル・コニイ

未来のどこかの惑星でのエリートの少年と召使いの少女の甘くせつない初恋物語。SF的未来社会を舞台にする必然性が感じられないただの恋愛小説と思ったら、ラストの2Pというか、ラスト1行であっと驚く凄いSFになります。

『ありえざる都市』 デイヴィッド・ジンデル ハヤカワ

数学的超空間にある謎の都市に住む少年の成長物語。最終的には宇宙飛行士になってワケノワカラン空間でワケノワカラン戦いするのであるが、都市内でのマラソンレースが数学SFとしては物足りない。

『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』 カート・ヴォネガット・ジュニア

本書は漫画「はみだしっ子」ファンの必読書であり、 「はみだしっ子」しか感動する物がない人は読んではいけない本でもある。 サーザ・グレアム・ダルトンの謎が本書によってすべて解けてしまうのである。 本書の主人公、エリオット(水樹和佳とは無関係)・…

『スカイラークシリーズ』 E・E・スミス 創元

悪役が宇宙1の魅力を持つ(w最終巻で主人公と協力して我々の銀河系を守る為に、二つの銀河系をメガクロスさせて消滅させてしまって、正義に目覚めたかと思わせるが(銀河系二つ消滅させるジェノサイドに正義もクソもないか?)