海外SF

『悪夢の並行世界』 マイクル・P・キュービー=マクダウエル 山高 昭 訳 ハヤカワ

並行世界テーマの「終局のエニグマ」である。 もちろん「発狂した宇宙」にはなりません。

『アルタイルから来たイルカ』 マーガレット・セント・クレア 矢野徹 訳 ハヤカワ

女流作家で、しかも矢野徹訳なら、 きっと泣ける話に違いないと思って買った。 泣けましたね。あまりにもばかばかしくて、 涙がチョチョぎれましたね。

『アンドロメダ突破 アンドロメダ2』 F・ホイル&J・エリオット 伊藤哲 訳 ハヤカワ

迷宮のアンドローラを探せ! イギリス全軍は行動を開始した。 だが軍は、アンドロメダからの通信情報によって建造された超コンピュータを破壊して逃亡した科学者の恥、 ジョン・フレミングを見つけたにすぎなかった。 アンドローラは島の迷宮の中で湖に落ち…

『ヴァレンタイン卿の城』 ロバート・シルヴァーバーグ 佐藤高子 訳 ハヤカワ

シルヴァーバーグが書いたとは信じられない、 ザンスの水準も越えている、 絶妙のストーリー展開の、 うーん、巧いなぁ・・・ と唸りながら読んでしまう、 シルヴァーバーグの唯一の大傑作である。

『エンダーのゲーム』 オースン・スコット・カード  野口幸夫 訳 ハヤカワ

異星人と終りなき宇宙戦争を戦っている人類は、 この戦争を終らせる者として、 その名もエンダー少年に究極の司令官養成プログラムを実行させた。 常に不利な状況を与えられるが、 エンダーは天才的才能を顕しシミュレーションウォーゲームに勝利し続ける。 …

『カエアンの聖衣』 バリントン・J・ベイリー 冬川亘 訳 ハヤカワ

社会学SF>文化人類学SF>民俗学SF>服飾芸術SF、と思わせて、「トリフィドの日」になってしまうのはちょっと興ざめした。異なる文化間には斥力が働く。社会学に相対性理論や素粒子論のような基本原則は存在するのか?

『逆転世界』 クリストファー・プリースト 安田 均 訳 創元

本書は数学的現実認識SF文学である。回転する双曲線が作る歪曲した弓状世界が逆転世界である。双曲線はx、y軸に無限に近づくが、けっして軸線に重なることはない。無限の回転半径を持つ世界が逆転世界である。無限の回転半径ということは、リム速度が光…

『キャッチワールド』 クリス・ボイス 冬川 亘 訳 ハヤカワ

現代スペオペだと思うとラストの方でワイドスクリーンバロックだったと判る話。

『拠点』 A・E・ヴァン・ヴォクト 稲葉 明雄・他訳 ハヤカワ

「拠点」 「音」 「呪縛の村」 「野獣の地下牢」 「モンスター」 「地には平和を」 「消されし時を求めて」 「宇宙シーソー」 「果された期待」 みんな面白いけど「宇宙シーソー」は「イシャーの武器店」の原形です。あのラストはやっぱり長編でやるからこそ…

『銀河の間隙より』 ランドル・ギャレット 風見 潤 訳 ハヤカワ

異星人ナイプの船は死にかけていた。だが、船の前方には、知的生命体が存在していると思われる太陽系があったのだ。ナイプは知力と体力の限りを費やして、その第三惑星に不時着した。知的生命体であるならば、他の知的生命体に協力するのは間違いない真理だ…

『虚空の遺産』 エドモンド・ハミルトン 安田 均 訳 ハヤカワ

ハミルトンの最高傑作である。この作品を読めばキャプテンフューチャーシリーズはスペオペのパロディだということが、否応なしに理解出来るであろう。こんな素晴らしい作品を書けるハミルトンが、フューチャーみたいな話をマジに書くわけないのである。

『コンピュータ・コネクション』 A・ベスター 野口 幸夫 訳 サンリオ

××世紀、人類は世界中にコンピュータネットワークを張り巡らし幸福に生きていた。そして実は、ナザレのイエスやなんやかんやの不死人のグループも生きていたのです。グループのスカウトマン、ギグは、天才コンピュータ技師ゲス博士に、不死の能力があると判…

『時間衝突』 バリントン・J・ベイリー 創元

我々の時間と逆行する時間(彼らにとっては未来に流れる正常な時間)が正面衝突するという究極のヨタSF。

『スローターハウス5』 K・ヴォネガット・ジュニア  伊藤典夫訳  ハヤカワ

聞き給え!ビリー・ピルグリムは人生の真実を知ってしまった。人生とは”無意味である”

『禅<ゼンガン>銃』 バリントン・J・ベイリー ハヤカワ

人口減少で滅亡しそうな銀河帝国は、哺乳類の知能を高め、人間の替りに宇宙艦に搭乗させ、叛乱惑星を鎮圧し、税として人間を獲得していた。帝国艦に自分の搭乗艦を破壊され、ある惑星に不時着した叛乱軍の兵士は、伝説の超戦士<小姓>と<小姓>が主人とし…

『大宇宙の探究者』 E・E・スミス 榎林 哲 訳 創元

帯の謳い文句に白け、扉の紹介文に「あっ、やっぱりね」と買わなかった貴方、貴方は大変な失敗をした。小生はノスタルジーだけで購入し、楽しく活劇が読めれば良いという軽い気持ちで読みだしたのだが、ところがギッチョンきりぎりすは鳴いたハローサマーグ…

『どんがらがん』 アヴラム・デイヴィッドスン 殊能将之訳 河出書房新社

『ゴーレム』 『物は証言できない』 『さあ、みんなで眠ろう』 『さもなくば海は牡蠣でいっぱいに』 『ラホール駐屯地での出来事』 『クィーン・エステル、おうちはどこさ?』 『尾をつながれた王族』 『サシェヴラル』 『眺めのいい静かな部屋』 『グーバー…

『タイムトンネル』 マレイ・ラインスター  ハヤカワ

TVドラマのノベライズだが、TVとは別物と考えた方がいいだろう。TVはタイムトンネルはただのSF小道具に過ぎず、タイムマシンが何故トンネル状であらねばならないのかの明確な説明がなく、極端なことをいえば、時間移動とタイムスコープの機能さえあ…

『太陽系辺境空域』 ラリイ・ニーヴン ハヤカワ

・いちばん寒い場所 ・地獄で立往生 ・待ちぼうけ ・並行進化 ・英雄たちの死・ジグソー・マン ・穴の底の記録 ・詐欺計画罪 ・無政府公園にて ・戦士たち・太陽系辺境空域 ・退き潮 ・安全欠陥車 一番面白かったのは「安全欠陥車」である。

『地球からの贈り物』 ラリイ・ニーヴン ハヤカワ

大いなる力を得て、レイニア姫が帰ってくる・・・。 反体制組織COE(チルドレン・オブ・アース)は、 謎の超人マットを含む五人の新世界戦隊で、 惑星マウント・ルッキッザットに革命の嵐を巻き起こす。 「これがッ!透明色のオーバードライブ! 必殺ッ!…

『中性子星』 ラリイ・ニーヴン ハヤカワ

・中性子星 ・帝国の遺物 ・銀河の<核>へ ・ソフト・ウェポン ・フラットランダー ・狂気の倫理 ・恵まれざる者 ・グレンデル一番面白かったのは「中性子星」と言いたいが、 重力と潮汐力の区別がついてない出鱈目の小説である。

『鉄の夢』 ノーマン・スピンラッド 荒俣 宏 訳 ハヤカワ

1953年、ドイツ出身でアメリカに移住し、イラストレーターからSF作家になった男が死亡した。 その鬼才の名はアドルフ・ヒトラー! 本書はヒトラーの遺作「鉤十字の帝王」の第二版をホーマー・フィップル(フィリップ・ホセ・ファーマー?)の解説を付…

『ニムロデ狩り』 チャールズ・シェフィールド 山高 昭 訳 創元

ニムロデとは人類に反逆した機械知性戦闘体。 17体のその1匹を狩るだけの話。

『重力が衰えるとき』 G・A・エフィンジャー 浅倉 久志 訳 ハヤカワ

SFマガジン、本の雑誌、そして翻訳の世界でも、1989年度SFベスト1のような扱いをされておったが、(翻訳の世界は本当は2位です。1位はレムの完全な真空です)こんなもんが年間ベスト1になるとはSFも随分つまんなくなったもんだ。

『不完全な死体』 ラリー・ニーヴン 冬川 亘 訳 創元

・快楽による死 ・不完全な死体 ・腕

『プダヴの世界』 ラリイ・ニーヴン ハヤカワ

太古文明の謎の像が発見された。 時間遅延フィールドを発見していた人類は、 それが時間凍結された宇宙人と気付き、 テレパス立ち会いのもと、数秒だけフィールドを破った。 しかし、宇宙人は強力なヒュプノだったため、 テレパスの自我は宇宙人にのっとられ…

『プロテウスの啓示』 チャールズ・シェフィールド ハヤカワ

ベスターのジョウント、ハインラインのウォルドー、プリーストのドリームマシン、テンのハウスなどが実用化されている22世紀の太陽系を描いた本書は、40年代から70年代のSFを読んできたものは必ず読まねばならない傑作である。

『星ぼしに架ける橋』 チャールズ・シェフィールド 山高 昭 訳 ハヤカワ

へたな紹介文を書くと「楽園の泉」と間違えられるのでハショるが、こちらの方が遥かに上質のSFである。

『ホワイト・ライト』 ルーディ・ラッカー ハヤカワ

本書は数学者が解説しているが、判り易く解説すると、 本文の無限論が誤訳だらけとバレてしまうので、 解説もわざと判り難く書かれています。 カントールの連続体仮説をテーマにしながら、コーエンはおろか、 ゲーデルさえ、デデキントも登場しないのに、 ヒ…

マシュー・スウェインシリーズ『オールド・タウンの燃えるとき』『月は死を招く』 マイク・マックウェイ 創元

うわあぁぁぁひらがなばっかりできがくるうぅぅぅ! 字面を開きすぎである。 どんな新人の翻訳家かと思ったら、50過ぎのジーサンである。