2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『おとり捜査官2 視覚』 山田正紀 朝日文庫

ネタばれせずにどう面白さを伝えるか悩むな。一気読みは間違いないが、最後まで引っ張った犯人の動機の謎が、○○では、絶対当てる事は不可能だな。予測不可能な本格推理としては成功しているが、ちょっとアンフェアというか、その手使ったら何でも説明出来る…

『死が招く』 ポール・アルテ 早川ポケミス

ツイスト博士シリーズ2作目。1作目には劣るが、サクサク読めます。謎の一部に偶然の要素が入ったのは残念。ミステリに出てくる動物は、猫と犬が双璧で、猿とか蛇とか烏とか海豚が出てくるのもあるが、本書は珍しい鴨ミステリでもあるw鴨フェチの人は必読w…

『ミステリ・オペラ』 山田正紀 早川文庫JA

戦場で死者が甦る!ホラーとしか思えない不思議な事件を語るのは、平行世界を移動する超能力者!?SFホラーにするしかないと思われるが、見事に本格ミステリとして結末付けます。この長さだと無駄な描写や薀蓄があるものだが、無駄は無く、全てが計算されつ…

『煙で描いた肖像画』  ビル・S・バリンジャー 創元推理文庫

題名どうりの物理トリック(J・G・バラードの「コーラルDの雲の彫刻師」のような)が出るかと思ったが違ったw。題名は比喩表現です。というわけで、本格推理ではなくて、サスペンス寄りの文学である。

『黒猫の三角』 森博嗣 講談社文庫

Vシリーズ一作目だが、シリーズ開幕では不可能なネタをやってしまった大傑作。あっと驚く真犯人の後に、シリーズを続ける為の大ドンデン返しが待ち構えています。SMシリーズは二作目を読む気が出なかったが、これの二作目を読めずにやめられる人はいない…

『麻薬密売人殺し』 ヒラリー・ウォー ケイブンシャ文庫

女率高杉!

『戦争と天皇と三島由紀夫』 半藤一利&松本健一 他 朝日文庫

本書のベストセリフ三島由紀夫「ぼくは、むしろ天皇個人に対して反感を持っているんです。本当は宮中で天皇を殺したい」半藤一利 &保阪正康「昭和の戦争と天皇」 松本健一 &保阪正康「二・二六事件と三島由紀夫」 原武史&保阪正康「昭和天皇と宮中祭祀」 冨…

『イノセンス』 山田正紀 徳間デュアル文庫

アニオタに媚びたライノベ文体ではなくて、普通のハードボイルド文体で、アニメ映画「イノセンス」の前日譚を自由にでっち上げた佳作。犬好きには評価が高くなるかもしれない。犬SFとして高評価するべきかもしれない。

『天狼星Ⅱ』 栗本薫  講談社文庫

伊集院大介シリーズ8作目。怪盗シリウスが美少年を狙って日本に帰って来た!我らの伊集院大介様は、梨園の美少年のボディガードとして雇われる。この世の者とは思えぬ美少年に、朴念仁の大介様も狂った?

『夢の中へ』 山田正紀 出版芸術社

直木賞候補になった「少女と武者人形」を含む文学寄りの奇妙な味の短編集。ユーモアものもあるが、全体的にはホラー寄りか?

「荒俣宏と立花隆と宮崎駿を足して3で割らない」大巨人小松左京氏死去

2011年7月26日午後4時36分、肺炎のため大阪府箕面市内の病院で死去。80歳だった。小松氏が小説書いた動機は、ラジオも無い貧乏暮らし時代に、妻に娯楽を与える為、妻に読ませる為に書いたのが第一作だというエピソードは良いよな。人を楽しませる為に書くの…

『自己チュー親子』 諏訪哲二 中公新書ラクレ

本書のベストセリフ『いろいろな人の視点を取り入れないで「自己」がどんなに純粋に考えても無効である』 社会性や公共性という概念が理解出来ない自己中心主義が何故生まれたか、どうやってまともな社会人にするかを考察した本。自己チューなキチ○イの例と…

『失踪者』 ヒラリイ・ウォー 早川ポケミス

捜査官は鑑識官とは違う。殺人事件の現場に第一に駆け付けても、現場保存以外は何もせずに、死体発見者に「何もしないの?」と糾弾されても、平然と「鑑識がまだ来てない」と切り返す主人公が、体裁を整える為に仕事してる振りではなくて、本物のプロの矜持…

『私を猫と呼ばないで』 山田正紀 小学館

「消えた花嫁」 「親孝行にはわけがある」 「猫と女は会議する」 「津軽海峡、冬景色」 「つけあわせ」 「女はハードボイルド」 「窓の見える天窓」 「恋の筑前煮」 「カゴを抜ける女」 「スイサイド・ホテル」 「恋のコンビニ愛のチップス」 「足りないもの…

『第四の扉』 ポール・アルテ 早川ポケミス

ツイスト博士シリーズ1作目。作者はフランス人だが、舞台はイギリスであり、ジョン・ディクスン・カー を後継する作品である。最初は主人公の名はギデオン・フェル博士だったが、著作権の壁を突破出来ずに、オリキャラとして微修正したそうな。幽霊が犯人と…

『京都蜂供養』 山田正紀 出版芸術社

「鮫祭礼」 「猫を憎む」 「モアイ」 「鳥のいない鳥篭」 「京都蜂供養」 「転げ落ちる」 「いけにえの空」 「獣の群れ」 「近くて遠い旅」の9編が収録されたSF・ミステリー短編集。痴漢冤罪事件ネタの「獣の群れ」が素晴しい!自分の無実を晴らす執念と悪の…

『20世紀の幽霊たち』 ジョー・ヒル 小学館文庫

17作全てギリギリ水準作以上だが、女性視点の物語が一つしかなくて、21世紀に書かれた話にしては、ジェンダー観が古すぎて笑う。いまだに父性愛をマンセーされてもなぁ。上手な無駄の無い話ばかりだが、もう、お腹いっぱい。作者の引き出しの限界も読み取れ…

『神獣聖戦』 山田正紀 徳間書店

最新のダーウィニズムとM理論で天才正紀が超絶生命を創造した!重力子で思考する重力生命!!それは幻想を実体化させる幻想生命!!!驚異の幻視物理学に酔いしれろ!!!!フリードリッヒ・ニーチェ の永劫回帰や、ベルクソンの持続時間、J・L・ボルヘス …

『あなたの人生の物語』 テッド・チャン 早川文庫SF

SF・ファンタジー短編集。ブに100円であったので買った。100円の価値は充分にあります。モチーフとしては言語学・数学SFが多く、テーマとしては人類進化SFが多い。

『見えない風景』 山田正紀 出版芸術社

「新築一年改装三回」 「脅迫者はバットマン」 「二十六日のイブ」 「見えない風景」 「スーパーは嫌い」の五編が収録されたミステリ短編集。殺人事件もあるが日常の奇妙な謎ものがメインかな。

『ホット・ロック』 ドナルド・E・ウエストレイク 角川文庫

泥棒ドートマンダーシリーズ第一作。長編と言うより中篇連作な感じ?メカを駆使した派手な面白い作戦もあるが、ラストが地味でちょっとご都合主義に思う。作者とユーモアのセンスが合う人には至高の作品だろう。

『メロス・レヴェル』 黒武洋 幻冬舎文庫

サバイバルゲームの勝敗の面白さを追求したエンタメなのか、人の絆の美しさ儚さを訴える文学なのか、感動のパワーポイントが分散した感じ。

『おとり捜査官 1 触覚』 山田正紀 朝日文庫

ポルノっぽいのも読者をミスリードする技法であり、ありえない意外な犯人の本格推理の傑作。強姦者と痴漢の犯罪心理は違うとか、犯罪心理捜査官ものとしても傑作。解説者はジェフリー・ディーヴァー のリンカーン・ライムシリーズに匹敵するかのように書いて…

『もういやだ! この疲れた心を休め、甦らせてくれる心の専門家50人』 三楽舎

神はもちろん、魂も心も精神も存在しないと主張するのが、科学教の信者である。存在しない心の悩みという概念は大笑いである。普通なら絶対読む事のない本だが、三楽舎 から献本されたのでネタとして読んだ。全国の心理カウンセラー50人を紹介した実用本だが…

『神君幻法帖』 山田正紀 徳間書店

山田風太郎の『甲賀忍法帖』のオマージュ。効果は全く同じ忍法も出てくるが、カタカナの科学用語を駆使した理屈が、現代科学でより詳しくなってるのが読みどころ。現在の科学知識で山田風太郎が忍法帖をリメイクしたらこうなるだろうという作品。不死の忍者…

『パーク・サイドの殺人』 ヒラリー・ウォー ケイブンシャ文庫

私立探偵サイモン・ケイシリーズ。『トップレス・バーの女』 よりは劣りますが、サイモン・ケイのキャラは魅力的ざます。ハードボイルドの主人公にしては、欲望が少ないのがいいざんす。基本的に煙草は吸わず、独身主義なので、女も遠ざける努力をするという…

『ヘロデの夜』 山田正紀 出版芸術社

「ヘロデの夜」 「ユダの海」 「夢の試練」 「プランクトンカンサー」 「呪われた翼」の5編が収録されたSF短編集。「ヘロデの夜」と「ユダの海」は同じ世界で、全部原口一族の物語かと思ったが違った。神に翻弄される原口一族の物語をもっと書いて欲しかった…

『ブラッククロス』 グレッグ・アイルズ 講談社文庫

敵方のナチスのシェルナー少佐がデラかっちょええ!悪のナチスなのに、ユダヤ人女性を強姦せずに、一週間の心の準備を与える紳士。敵のナチスにセクースを一週間は我慢出来る紳士を配し、味方のイギリスコマンドは、現地妻と一晩に二発やるというケダモノwヒ…

『1ダースまであとひとつ』 山田正紀 光風社出版

「身元不明につき」 「甘い生活」 「夢で会いましょう」 「自転車泥棒」 「地獄表を見る男」 「しつけの問題」 「ビニールハウス」 「追放船」 「竜の侍」 「誰も知らない空港で」 「システムダウン」ホラー、ミステリー、ノワール、ファンタジイ、SF、時代…

『絵画で読む聖書』 中丸明 新潮文庫

本書のベストセリフ『イエスは人びとに祈りを教え、病気を癒しはしたが、彼自身の手で洗礼を施すことはしなかった。つまり、洗礼を授けるということは、「施し」の行為である。相手より一段高いところに立った行為で、優越感を覚える行為である。イエスは、…