『あなたの人生の物語』 テッド・チャン 早川文庫SF

SF・ファンタジー短編集。

ブに100円であったので買った。

100円の価値は充分にあります。

モチーフとしては言語学・数学SFが多く、

テーマとしては人類進化SFが多い。
形而上学の問題に科学で切り込む姿勢は、

イーガンに似ているし、

イーガン同様、冷静に考えるとギャグの世界である。

SFは宇宙人や超能力や神や心といった存在しないものをネタにしてもいいのだが、

架空論理の切れが表題作以外は弱い。

一個目の短編はただのファンタジーと言うか、

小学生でも考え付く不思議な話で激しく脱力したw

イデアに少し光るものがあるが、

料理の仕方がヘタクソな作品が目立つ。

全作平均値以上と解説では言っているが、

平均値以上なのは表題作だけだと思う。

数学ネタも数学の面白さを訴えるのには成功してない。

0で割れば1=2も証明出来るという有名なネタは出てくるが、

0ネタなら、0を掛ければ何でも0になる以外に、

0回掛ければ1になる

(10の2乗は100

10の1乗は10

10の0乗は1

10のマイナス1乗は0.1)

10のマイナス2乗は0.01)

とか、2乗して0になる0以外の数=超数

の話題も出して欲しかった。

数学の話題も出るが小学生でも理解出来るネタばかりなので、

数学嫌いでも恐れる必要はありません。

数学SFとしては、

四色問題の反例をでっち上げたマーチン・ガードナーより芸がない

簡単な文学寄りの作品ばかりなので、

単純なメタファーに感動出来る人は感動して下さい。

SF初心者に勧めるのに良いと解説者は言っているが、

こんなもん勧めんでも、

アシモフやクラークの短編集を素直に勧めればいいと思う。

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)