『創るセンス 工作の思考』 森博嗣 集英社新書
本書のベストセリフ
「何もかもがつまらない」
「それは君がつまらない人間だから」
正確には悩みを相談してくる若者に答えられなかった言葉であるが、相談者が傷ついて自殺しないようにと言わない森先生の配慮は素晴しい!
本で書いてしまっては遠回しに自殺しろと仄めかしているようにも取れるが、馬鹿者じゃなかった、若者の皆さんは気安く森先生に相談しないように(笑)。
工学者、技術者としてのセンスをテーマにした本だが、汎用性のある教育論(つーか、教育不要論教育有害論)が傑作。子供に教えたい事は大人がそれを学ぶ姿勢を見せるのみ!
多種多様な既製品を買って楽しみを選択することに追われ、
自分で創る喜びを忘れた人々への工作マンセーの書である。
デジタルにマニュアル化出来ない職人のコツを見つけるセンスが、
生きるセンスに繋がると訴え、
机上の学問だけで設計して、現物の不都合に対応出来ない、
頭デッカチの身体感覚の欠如したエリートをあざ笑ってるのも痛快である。
物事をより深く理解するには、
自分がすぐに理解するだけでは駄目、
理解出来ない人間が何故理解出来ないのかと、
他人の思考回路も理解する必要があるというのも納得。
理解力不足のトンデモ人間のトンデモ事例も紹介されているので、
笑いながら楽しく読めると思う。
人を笑い者にするとは何事か!
という論旨も有り得るが、
森先生は対人関係の楽しみを必要としない孤高の趣味人なので、
森先生への非難は無駄ざんす。
小説家になったのは、工作する為の旋盤スライス盤を買う金を捻出する為だったとは傑作。
プラモ少年、無線少年、ラジコン少年の心のまま大人になったのが森先生。
小説より工作の方が好きだそうです。
純な工作少年の魂の持ち主の森先生がますます好きになりました。(:.;゚;Д;゚;.:)ハァハァ
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/02/17
- メディア: 新書
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