『失踪者』 ヒラリイ・ウォー 早川ポケミス
捜査官は鑑識官とは違う。
殺人事件の現場に第一に駆け付けても、
現場保存以外は何もせずに、
死体発見者に「何もしないの?」と糾弾されても、
平然と「鑑識がまだ来てない」と切り返す主人公が、
体裁を整える為に仕事してる振りではなくて、
本物のプロの矜持が感じられてデラかっちょええ!
例によって若い美人が被害者だが、
推理の過程で被害者が悪党だった可能性も語られるのが、
美女を無条件に良いものとしない
論理的な本格推理で素晴しい!
真犯人に至る重大な手掛かりと、
真犯人と特定出来る物的証拠が、
ともに、被害者と加害者が事件に関係ない
第三者への心を込めた贈り物だったというのが、
皮肉が効いていて面白い。
キリスト教を超越し、仏教的因果応報を具現化した傑作。
- 作者: ヒラリイ・ウォー,小倉多加志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1965/02/15
- メディア: 新書
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