日本ミステリ・ホラー・冒険

『海賊とよばれた男』 百田尚樹 講談社

出光興産の創業者をモデルにしたノンフィクションノベルだが、感涙のエピソードの連続。私利私欲を求めず、国家国民の為に、政治家も軍人も官僚も大企業も敵に回す主人公が凄い。今年のNO1本に決定。GHQにも逆らってGHQを感心させて味方にした日本人って出光…

『半魔』 黒武洋 徳間文庫

サスペンス寄りの作家かと思ったが、これはベタなホラー。魔と戦う五人の霊能力戦士の構成が、女4男1なのはジェンダー的にナイス!戦士に成れないBFを飛行能力を持つ女子高生ヒロインが助けるという篠原千絵 の「海の闇、月の影」 を思わせるシーンもありま…

『パラサイト・イヴ』 瀬名秀明 角川ホラー文庫

和製クーンツ と北上おじは認定したが、クーンツ より下品。理系の薀蓄が無ければ化物が少女を犯そうとするベタな話である。内臓フェチにはリアルな腎移植シーンや肝細胞増殖シーンに萌えるのだろうが、内臓属性も美少女属性も無い私には今一でした。麻理子…

『メロス・レヴェル』 黒武洋 幻冬舎文庫

サバイバルゲームの勝敗の面白さを追求したエンタメなのか、人の絆の美しさ儚さを訴える文学なのか、感動のパワーポイントが分散した感じ。

『国語入試問題必勝法』 清水義範 講談社文庫

「猿蟹合戦とは何か」 「国語入試問題必勝法」 「時代食堂の特別料理」 「靄の中の終章」 「プガロンチョのルノワール風マルケロ酒煮」 「いわゆるひとつのトータル的な長嶋節」 「人間の風景」の七編が収録された短編集。落ちの切れ味が悪い、ってゆうか、…

『そして粛清の扉を』 黒武洋 新潮文庫

高校教師が教え子のクソガキ30名を虐殺する痛快な小説。教室に立て篭もり、警察も相手にするが、ナイフ、拳銃、地雷も駆使して、警官も同僚教師も保護者もブチ殺します。「バトルロワイヤル」と比較される事が多い本書だが、殺す方の教師が主役であり、クソ…

『カタブツ』 沢村凛 講談社文庫

地味で真面目な人物達を主人公にした、キャラ造形の常識を覆す天才的な短編集。劇画村塾の小池先生も裸足で逃げ出すだろうw道徳の教科書として国連予算で67億印刷して全世界に配布すべき傑作。

『行きずりの街』 志水辰夫 新潮文庫

私は初物作家を読む時に、その作家の最低作を引いてしまうジンクスがあるんだが、またやってもうた感じ。ハードボイルドと流布されるが、これは悪漢小説だよね。高校生以下の処女が大好きな強姦魔が主人公である。もちろん本人には強姦魔の意識は無い。常識…

『風が吹いたら桶屋がもうかる』 井上夢人 集英社文庫

役に立たない(発動のコストパフォーマンスが悪い)本物の超能力者の元に持ち込まれる相談を、同居人の名探偵が華麗な推理を展開し、事件にしてしまい、びっくりした依頼人が自力で事件を解決するというパターンのユーモア短編集。推理小説は、超能力者を笑い…

『テロリスト伝説』 三好徹 集英社文庫

本書のベストセリフ 岡本耕三「愛を知るのに言葉はいらない。しかし、革命を知るには実践が必要である」『赤い星の伝説』 『暗殺者の伝説』 『不死鳥の伝説』 『革命家の伝説』 『炎と水の伝説』 『千里虎の伝説』

『夏・風・ライダー』 高千穂遙

どこにも長所がない最低最悪の右翼小説。 ストーリーはご都合主義に溢れているし、文章力はないし、キャラが描かれてないし、モチーフもテーマも悪いという、ヘタクソな小説の見本が本書である。ラストで意外なドンデン返しがあるじゃないか!と思う方もいる…

『小説・麻雀新選組』 阿佐田哲也 双葉ポケット文庫あ01−1

朝だ?徹夜!じゃなかった、阿佐田哲也の麻雀小説はあまりにも有名であるが、 本名の色川武大の名で中央公論新人賞、泉鏡花賞、直木賞、川端康成文学賞を受賞している事はあまり知られていないようである。本書は主人公阿佐田哲也が様々な小説家や漫画家と麻…

『女教師』 清水一行

日活で映画化もされたから、本書をポルノ小説だと思う奴もいるかもしれんが、 とんでもございません。 真面目な教育テーマの小説であり、優れた推理小説である。

『攻旗だ、無頼船よ』 西村寿行

単なる海洋アクションだと思っていたが、優れた冒険推理であり、 素晴らしい反戦小説である。 戦争の悲惨さ、国家の為に死ぬことの馬鹿馬鹿しさ、脱走兵の素晴らしさ、 男のいやったらしさ、人種や文化の違いはあっても人間はすべて平等であり、 命は尊いも…

『下町探偵局〈PART2〉』 半村良

本書は東京の両国(半村良の生まれ育った所だ)で探偵局を開業した 下町(シモマチ)誠一と、彼の部下たちがあやなす人情劇である。 フィリップ・マーロウ、リュウ・アッチャー、サム・スペード等にあこがれてみても、 彼らはあまりにも遠い存在であり、 安楽椅…

『成吉思汗(ジンギスカン)の秘密』 高木彬光 ハルキ文庫

成吉思汗の秘密 新装版 (光文社文庫)作者: 高木彬光出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/04/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (29件) を見る女より知恵や知識を愛する日本一の名探偵神津恭介は入院する破目になった。入院して…

『花まんま』 朱川湊人

花まんま (文春文庫)作者: 朱川湊人出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/04/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (48件) を見る①「トカビの夜」 少年×少年 ②「妖精生物」 少女×青年 ③「摩訶不思議」 少年×青年 ④「花まんま」 …

『13階段』 高野和明 講談社文庫

13階段 (講談社文庫)作者: 高野和明出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/08/10メディア: 文庫購入: 19人 クリック: 91回この商品を含むブログ (217件) を見る江戸川乱歩賞受賞作は、選考委員が興味を持つ、ややマイナーな専門的な職業の人物が主人公になる…

『幽霊人命救助隊』 高野和明

幽霊人命救助隊 (文春文庫)作者: 高野和明出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/04/10メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 112回この商品を含むブログ (69件) を見る本書のベストセリフ八木「言葉だけ並べりゃ、あの戦争の正体が分かる。 『進め一億火の玉…

『皆月』 花村萬月 講談社文庫

皆月 (講談社文庫)作者: 花村萬月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/02/15メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (24件) を見る本書のベストセリフ「愚かでなければ、愛せない。愚かでなければ、愛する資格もない。もちろん、そん…

『不夜城』 馳星周 角川文庫

不夜城 (角川文庫)作者: 馳星周出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1998/04/01メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 25回この商品を含むブログ (69件) を見る文体が平易過ぎて脱力する。女も男も犯し、殺人もする主人公だが、小市民的に思える。ハードボイルド…