『カタブツ』 沢村凛 講談社文庫

地味で真面目な人物達を主人公にした、

キャラ造形の常識を覆す天才的な短編集。

劇画村塾の小池先生も裸足で逃げ出すだろうw

道徳の教科書として国連予算で67億印刷して全世界に配布すべき傑作。
地味に真面目に生きる庶民への応援歌であるが、

ハッピーエンドとは限らないのが、深い。

神も悪魔も存在しないので、

真面目に生きようと、悪に生きようと、

不運に遭遇する確率は同じだという、

科学的に正しい認識が素晴しい。

地味に真面目に生きていても、

運が悪いと不幸な人生になるが、

全人類を敵に回しても、

自分にやましいことがなければ、

堂々と力強く生きていけるのである。

最後の作品の樽見幹人がデラかっちょええ!

彼を主人公にした長編を読みたい。

派手で不真面目な人でも、

真面目を装う破目になった時の参考書として

本書は有効であろう。

心は形が作るもの。

偽善者を演じているうちに心が善になってしまう可能性もあるので、

善人の振りをして詐欺でも企んでる人も読んで下さい。

中国古典の名セリフもあるし、古代中国史の好きな人にも楽しめると思います。

沢村凛の志の高さと教養の深さに燃え萌えですぅ。

カタブツ

カタブツ