『善良な男』 ディーン・クーンツ 早川文庫NV

スーパーナチュラルもスーパー兵器も出て来ない、

ただのサスペンスでも、クーンツには『ハズバンド』 という大傑作があったのに、

『ハズバンド』 以後にこんな凡作を書けるクーンツの神経には恐れ入る。

章立てが多く、改ページが多いので、

あっと言う間に読めてしまうが、

長所は読み易いという点しかない、

『ハズバンド』 で見せたワクワク感ドキドキ感は皆無。
『ハズバンド』 の主人公はただの庭師で、

これの主人公はレンガ職人なので、

『ハズバンド』 同様、ど素人が知恵を巡らして、

プロの殺し屋に勝ってしまう痛快な作品と期待したが、

レンガ職人の前に凄い過去があると暗示され、

いやんな予感がしたが、

その通りの捨てろタイプな過去で白けた。

クーンツの売りは悪役も魅力的なのが最大の売りだと思っているが、

本書は女をレイプして殺すのが好きな捨てろタイプの悪役で、

悪役にも魅力皆無。

ネタ被りクーンツとして他作品と全く同じエピソードも出てくるし、

悲惨なエピソードも使い回すと、またか!と失笑せざるを得ない。

リーダビリティの良い小説なんて、

クーンツ以外にもある。

クーンツファンは読むと白けます。

クーンツを一冊も読んだことがない人は、

入門用として読んでもいいだろう。

善良な男 (ハヤカワ文庫NV)

善良な男 (ハヤカワ文庫NV)