『ヘロデの夜』 山田正紀 出版芸術社

「ヘロデの夜」
「ユダの海」
「夢の試練」
「プランクトンカンサー」
「呪われた翼」

の5編が収録されたSF短編集。

「ヘロデの夜」と「ユダの海」は同じ世界で、

全部原口一族の物語かと思ったが違った。

神に翻弄される原口一族の物語をもっと書いて欲しかったな。
長編化すれば「神狩り」+「弥勒戦争」みたいな傑作になっただろう。

原口一族自体は超能力を持たず、神の御業見届け人みたいな感じだが…。

神狩りするのは、自分をヘロデ王やユダに擬える単発キャラだが、

この設定はなかなか面白いと思う。

何の罪もない赤子を大量虐殺しようとも、

神の子を退治出来るのなら、人類にはエウァンゲリオンと成りうる。

残酷な神、残酷な天使を退治しないと人類には福音は訪れまい…。

ヘロデの夜 (山田正紀コレクション)