『黒いカーニバル』 レイ・ブラッドベリ 

SF界が生んだ世界最高の詩的な幻想作家。

普通のSF者は「火星年代記」をベストに押すだろうが、

私が一番好きなのは、『黒いカーニバル』に収録されている

「遊園地」である。
大人の心が子供の体に転移してしまい、

子供の遊びの中で残酷なイジメに遭い、

<純粋な子供たち>を呪詛するという話。

テニスシューズと自転車がブラッドベリには似合い、

瑞々しい少年の感性で泣かせる詩人というイメージがあるが、

SF系ファンタジー系というより、ブラッドベリはホラー系の作家として高く評価したい。

無知で野蛮なガキは残酷である。

それを承知しているからこそ、ブラッドベリの美しい物語は永遠に光り輝くのだ。

黒いカーニバル (ハヤカワ文庫 NV 120)

黒いカーニバル (ハヤカワ文庫 NV 120)