2011-06-30から1日間の記事一覧

『鋼鉄都市』 アイザック・アシモフ  福島正実訳 早川文庫

SFミステリというジャンルを確立した文学史上に残る傑作。 未来の地球人はドームに覆われた鋼鉄都市に住んでいた。 ドーム都市に住むことで人々は広所恐怖症になっていた。普通の人々にとってドームの外に出ることはとてつもない苦痛である。そして、人類史…

『死者の代弁者』  オースン・スコット・カード 早川文庫

あの傑作「エンダーのゲーム」の続編。 軍事司令官として敵を大量虐殺してしまったエンダー少年は、 敵の唯一人の生き残りを庇護しながら、静かに生きていた。 が、生きる為には働かなくてはならない。 エンダーが選んだ職業は「死者の代弁者」、 ようは葬儀…

『ヴェニスに死す』 トオマス・マン  実吉捷郎訳

世界一のやおい文学。 腐女子に受けるには美少年×美少年だが、 醜いジジイ×美少年であるからこそ、文学的な深みが出るというものだ。

『メルヒェン』 ヘッセ  高橋健二訳

ヘッセの童話集である。 童話というものは、自分が愛されることしか考えない女子供の為に書かれる場合がほとんどだが、 硬派のドイツ人のヘッセの童話はいいですぞ、隊長! ベスト1はやはり「アウグスツス」でしょうな。 愛を垂れ流すベタベタ母親を持つ少年…

『魔の山』 トーマス・ マン  関泰祐, 望月市恵 訳

ドイツ皇帝ウィルヘルム二世が提唱した「黄禍論」に信奉した私は、 ドイツ文学に嵌っていた時期がある。 マンとヘッセは相当読んだつもりだが、 突っ込みたい作品はほとんどない。 で、「魔の山」であるが、 生真面目なドイツ人気質が感じられる良作だが、 …

『私の幸福論』 福田恆存 ちくま文庫

「幸福になりたい!」などという浅ましい欲望を所持していると、 神や仏に、「幸福になりたかったら俺様の言うとおりに生きろゴルァ!」 と脅迫されて、惨めな人生を送る破目になるので、 この手の本は読む趣味は無かったのだが、 知り合いの画家さんのお勧め本…

『ピカソ―剽窃の論理』  高階秀爾  ちくま学芸文庫

既成概念に囚われない、独創性溢れる、自由奔放な天才画家! と一般に思われているパブロ・ルイス・ピカソが、剽窃の論理でしか絵が描けなかった、 薄汚い盗作野郎であると、豊富な元ネタを提示して証明した、 美術史学上に残る会心の一作。

『揺籃の星』 ジェイムズ・P・ホーガン  内田昌之訳 創元

遂にホーガンが禁断のトンデモ科学をネタにしてしまった! 本書は既にトンデモ科学として否定されているヴェリコフスキーの「衝突する宇宙」ネタである。 金星は3500年前に木星から分離して誕生したというアレである。 SFは自己矛盾さえなければ、現実世界に…

『楽毅』 宮城谷昌光 新潮文庫

諸葛孔明が理想とした武将楽毅の生涯を気品高く描き切った傑作。 漢の高祖劉邦が好きだった武将でもあるが、 史記の描写は少なくてどこをどうすれば全四巻になるのかと危惧する諸兄は 史料は史記しかないと思い込んでる初心者である。 他にも色々ありますか…