『ロイガーの復活』 コリン・ウィルスン  荒俣宏訳 早川

THE RETURN OF THE LLOIGOR

文学教授ポール・ダンバー・ラングは、生きて還れぬ謎の古城で遂に巡り会った最強の古書によりどうなったのか?

その結末は「賢者の石」の中で述べられている。

本書は「賢者の石」より前の時代のお話である。

「賢者の石」に登場した男が本書の主人公である。

ネクロノミコンの邪神に戦いを挑む物語だが、

短すぎて、面白くなったと思ったらすぐ一巻の終わりとなり物足りない。

ぜひとも「賢者の石」の続編にラングを帰還させて、

二人の主人公で神々と壮絶な死闘を演じて欲しいと思たよ。

コリン・ウィルスンって「賢者の石」の続編書かずに死んだんだっけ?w

「許せない!たとえ神であっても!!」(サイボーグ009か貴様!石森章太郎の最高傑作は「リュウの道」ざんす)と、

絶対的な存在に対しても戦いを挑んでしまうのが、SFの面白さであるが、

神狩りテーマのSFでは、神に何らかの弱点があるものである。

神が本気にならないという手もあるが、

本書の神々のメンタリティは、ペシミズムを生きるエネルギーとしていて、

地球という若々しい惑星が持つ明るい未来に、

ロイガーたちアンドロメダから来た精神集合体には耐えられず、

地球の進化に適応できる楽観的な人類を創り、奴隷にしようとしたが、

地球は人間を神々に反逆出来るように進化させてしまったのだ。

神々は地球にペシミズムのエネルギーを奪われ、

明るく進化する生物たちを見ないですむ地中深く逃げるしかなかった。

そのロイガーたちが長い年月の間にエネルギーを蓄えたのか、

地表に再び復活しようと動きだしたのだ!

地球は人類を裏切って神々に協力はじめたのか!


本書を読めば、自然と神を同一視し、自然の持つ驚異、美しさから神を信仰してしまう宗教人が如何に愚かな存在であるかよく判る。

何故神を認めるのかね、素直に地球に賛美すればいいだろうが! 

ロイガーの復活 (ハヤカワ文庫 NV 140)

ロイガーの復活 (ハヤカワ文庫 NV 140)