2012-01-01から1年間の記事一覧
本作の主人公は元スタントマンの中古車販売業者、敵はマフィアと思わせて、もちろん国家権力のスパイ組織も敵。 主人公の父が超一流スタントマンで主人公はスタントの英才教育を受け、12歳で車の運転を、14歳で飛行機の操縦を覚えて、ハリウッドNo1のスタン…
本作の主人公は労働組合委員長。敵は大統領直属の謎の組織。委員長の選挙戦をリアルに描写したかったらしく、ロス・トーマスお得意の複雑でイリーガルな謀略戦が発動するのが遅く(殺し屋は最初から登場してるけど)、これはロス・トーマス作品としてはやや劣…
民間人(本作は新聞記者)が政府権力(本作は上院議員)の陰謀に立ち向かうという、いつもの非国民作家ロス・トーマスの魅力爆発の作品である。主人公は食う為に新聞記者しているが、夢は歴史家、大学教授であり、探偵としての調査能力は抜群であるが、武力は0。…
「プロローグ」 「足跡のない連続殺人」 「四階から消えた狙撃者」 「不吉なカリブ海クルーズ」 「聖餐式の予告殺人」 「血の気の多い密室」 「ガレージ密室の謎」21世紀に甦った黄金本格推理とマンセーするべきだが、本格推理としては無駄な人間描写が私…
蠍のような毒婦たちの騙し騙され殺し殺されのコンゲームデスゲームユーモアミステリ。セリフのある登場人物は全て女という、男無視の痛快なノワールとも言える。男よりお金が好きな峰不二子タイプばかりが熾烈に知恵を巡らせる謀略小説とも言えます。ミステ…
本書のベストセリフ「あなたはまだ二十四でしょ?大事にしなくちゃならない真実なんて、あなたの人生にはこのあともいやになるほど残ってるわよ」もう一丁行くぜ!「ふしだらな女は当然の報いを受ける。だから、彼らはそんな嘘を利用したのよ。なぜなら、この…
本書のベストセリフ「何が望みだと?個人的な利益なんか考えるわけがない!」サミルかっこええよ、サミル、(;´Д`)ハァハァ。 凄いドラマツルギーの傑作。会話はへたというか、行数稼ぎの疑問詞の合いの手が多くて鼻につくが、予定調和にならない怒涛のストーリー…
本書のベストセリフ「魂など救済せんでよろしい!メキシコ人を救済しなされ!」もう一丁行くぜ!「算術こそが紛れもない宇宙の法則である。数学的な証明だけがただひとつの証明である」ミステリだが本格推理ではなくて、文学寄りのノワール。 過去形を使わず現…
密室での人間消失で始まるので本格推理かと思ったら、パズラー度は薄い感じで、トラベルミステリーというか、サスペンスですな。日本国内ウロウロするだけでは、凡百のトラベルミステリーだが、天才正紀なので、下巻はソ連国内へ!取材に基づくリアルなソ連国…
1「フォト・フィニッシュ」 サラ・パレツキー(V・I・ウォーショースキー)(Photo Finish)2「空の青 (シエロ・アズール)」マイクル・コナリー(ハリー・ボッシュ)(Cielo Azul)3「スカーレット・フィーバー」 ジャン・グレープ(ジェニー・ゴードン&C…
珠玉のハードボイルド冒険メルヘン短編集。「密猟志願」が一番のお気に入り。 10歳の天才密猟少年に弟子入りした中年男の物語。普通の作家なら作家を投影していると思われる中年男が自分で 様々な密猟テクニックを発明する話になるだろう。作家自身にも主人…
本書のベストセリフ「こんなことを言う女は、私が歴史上はじめてかもしれないけど、運転の仕方を夫に批評されるのって最高ね」なぜならば夫は46年間失明していたから!批評される行為、批評する能力の存在のありがたみに気付かず打たれ弱い人は、五感全て持っ…
ナヨナヨした美少年が三人も出て来るジェンダー観も素晴しい21世紀の本格推理小説。3.11以後に書かれた為か、純粋の知的ゲームに徹しきれず、罪なき子供が災害や戦争で殺される事への正紀の憤りが透けて見えて、ちょっと重くてエンタメとしては爽快感にやや…
本書のベストセリフ「その情報を与えることはできないが、容易に想像できるだろう」読む楽しみを奪ってはアカンので、詳しい情報を与えることはできないが、うっとおしい文学ではなくて、本質はエンタメの本格推理作家のコナリーなので、面白いことは容易に…
30年前に大学テキストとして書かれた本で、練習問題が豊富(答えだけで16Pもある)なので、数学パズル本として楽しく読める。巡回セールスマン問題や一筆書き問題も出て来ます。大学生向けだが、整数論、代数学、グラフ理論がメインなので、中学生でも解ける問…
wikiでも直ってないリーマンの論文名の昔の誤訳の定訳「与えられた数より小さい素数の個数について」が、 「与えられた量より小さい素数の個数について」と正しく訳されているのが素晴しい!連続する変化量を扱わない離散数学である数論に、解析学の概念を導…
天保時代で開幕したこのシリーズだが、なんと、明治時代、日露戦争秘話として閉幕。吸血鬼と戦い続ける一族の話だとして落ちました。 正紀版ジョジョの奇妙な冒険だったのか!?漫画や映画のお約束を破り、超絶能力対超絶能力にはならず、吸血鬼に対して駆逐艦…
大江戸ヴァンパイア小説。 4つの短編のオムニバスである。 ヒロインに思われた美少女が呆気なく死ぬのはさすが正紀。 主人公は鉄太郎かと思ったら、主馬が主役張る話もあって、二人主人公かと思ったら、主馬はなんと! 次巻が楽しみである。天動説〈1 江戸幻…
21世紀の新世代作家として、ジェンダー観が素晴しい。 主人公の中年作家探偵が2回も女装する素晴しさ! 作家が主人公という事で、小説論や芸術論も語られるが、共感出来る良い論旨であった。 序盤テンポが遅いが、終盤のドンデン返しの嵐は見事。 最後のペー…
野崎先生が総和級数(繰込み理論)を間違えていてアレっ?と思ったら、文庫化前の単行本は30年以上に出版されてました。この文庫版では最後に書き足して間違いを訂正しておられます。 書き足すのではなくて書き直して過去の間違いを隠蔽しない野崎先生の真摯な…
本書のベストセリフ「おれに必要なのは犬だけだ」 「女は?」 「ああ、たぶんいつかは」口とペニスしかない野蛮な男が大好きなセクス=愛を揶揄し、犬に象徴される友情、遊び心をマンセーした戦争文学。ナチドイツ降伏で物語りは始まるので戦争冒険小説ではあ…
シリーズ最終巻の最後の最強最悪の敵は、大日本帝国復活を夢見る、元関東軍参謀が組織した私兵軍団、大日本帝国の亡霊、幽霊軍団である。軽い軟派なアクションSFとして開幕した本シリーズだが、やはり反日正紀の本領発揮、大和魂やら愛国心やらを空疎なもの…
今作の敵はバットマンとワンダーウーマンとスパイダーマン。アメコミファンのマッドサイエンティストが造った超人軍団である。アメコミのような軽いノリでサクサク読めるが、超蟹男としてついに武器の鋏が登場するが、結局敵の超人三人を主人公は一人も倒せ…