『犬の力』 ドン・ウィンズロウ 角川文庫

本書のベストセリフ

「魂など救済せんでよろしい!メキシコ人を救済しなされ!」

もう一丁行くぜ!

「算術こそが紛れもない宇宙の法則である。数学的な証明だけがただひとつの証明である」

ミステリだが本格推理ではなくて、文学寄りのノワール
過去形を使わず現在形でテンポの良い文体なのでサクサク読めるが、キャラ立ちやアクションはステロタイプ
芸のある拷問シーンは少ない。
悪漢小説としては普通。
グロ耐性ある私はたいして衝撃受けなかったが、男女のズッコンバッコンの多さには辟易した。
男×男、女×女も欲しかった。
読み易いがやや古臭い。
無駄に多い登場人物がドンドン死んでいく過程が、裏切りで敵味方のポジションが変わったりして、謀略小説としてそれなりに面白いが、謀略小説としては、もちろん、ロス・トーマスよりは単純で、そんなに絶賛するほどの作品ではないと思う。
これよりは「フランキー・マシンの冬」の方を私は強く勧める。
全てが水準作以上とは思うので、ウィンズロウは全部読むつもりではありますが()。
糞長い作品を大作として評価する風潮があると思われるので、これがウィンズロウの最高傑作という説も理解出来るが、私は無駄なシーンが多過ぎると思いました。