『音もなく少女は』 ボストン・テラン 文春文庫

本書のベストセリフ

「あなたはまだ二十四でしょ?大事にしなくちゃならない真実なんて、あなたの人生にはこのあともいやになるほど残ってるわよ」

もう一丁行くぜ!

「ふしだらな女は当然の報いを受ける。だから、彼らはそんな嘘を利用したのよ。なぜなら、この世はそうした嘘のまわりに築かれたものだから。たちの悪い男の嘘つきによって。ただ、そういう嘘つき男はこの世では独裁者とか大統領とか法王とかって呼ばれてるけど。政府や法律や宗教。そんな中でも宗教が最悪ね。なぜって、そうした嘘の根源にあるのが宗教だからよ。教会というのは神という手品を利用して真実をねじ曲げるところよ」

父なる神怒れる神復讐する神に象徴される男らしさを野蛮なケダモノのクソと揶揄する素晴しいジェンダー小説というかマイナリティ小説。

作者はうっとおしい男らしさに蹂躙される女性、子供、障害者の味方である。

男なんてイラネという小説だが、もっとレズ小説になった方が更に面白くなったと思う。

文学寄りのミステリのメソッドでは作者はもう書く事無いと思う。ホラーやSFとして、地球上の全ての男を虐殺する話、ついでに神も倒す話を書いて欲しい。

音もなく少女は (文春文庫)

音もなく少女は (文春文庫)