2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『私たちが中国でしたこと−中国帰還者連絡会の人びと』 星徹 緑風出版

中国への侵略戦争の加害将兵の告白をまとめたもの。 初年兵時の実的刺突訓練(ワラ人形ではなくて拉致した中国人を銃剣で刺殺する訓練)は、 どの将兵も同じようなエピソードになるのだから、 似たようなエピソード(命乞いする中国人:「私は中国人兵士では…

『南京大虐殺の大嘘』 吉本栄 東京図書出版会

共産主義が大嫌いで東条英機を尊敬する戦中派の著者が、南京大虐殺説などを 唱える左翼(正確には反日主義者、アメリカも含まれる)の陰謀を糾弾する本。 右翼向けの本としてとても判りやすい(藁 国という概念に拘りすぎで、思想書としてのアウフヘーベンはな…

『流氷民族』 山田正紀 ハルキ文庫

ハードボイルドミステリホラーSF冒険小説として、もっともっと面白く書けたと思うが、正紀20代の作品なのでしゃあないか。黒歴史として封印するほど酷くはないが、正紀コンプを目指している人は後回しでもいいか。

『ソ連が満州に侵攻した夏〜かくして天皇の軍隊は百万邦人を見棄てた!』 半藤一利 文春文庫

「ノモンハンの夏」で人気大爆発した半藤一利の醒めたドキュメントである。左翼ならもっと大日本帝国軍の悪とアフォさ加減を激情に駆られた文で追及して欲しかった(藁

『三国志』 吉川英治 講談社文庫

吉川英治というと、説教臭い「宮本武蔵」の悪評のせいで、敬遠する諸兄もいるかもしれぬが、読みにくい「三国志演義」を日本人向けに翻案した本書は、小説メディアのなかではベスト1である。はっきり言っちゃえば、これさえ読んでおけば立派な三国志ファン…

『三国志演義』 羅貫中 徳間文庫

文体が古くて読み辛い。中国古典小説の特徴なのだが、人物の内面描写をほとんどしないので、感情移入しにくい。孔明死後の三国すべての滅亡の過程を知りたい人向け。ようするに、吉川三国志を読んだ後に、これの8巻だけを読めばいい。

『興亡三国志』 三好徹  集英社

楊脩徳祖にもっとも好意的な小説である。ビジネスジャンプの連載では曹操の死で終わったが、単行本ではそれ以後の時代を書き足しています。何と言っても楊脩徳祖の死後に孔明が楊脩徳祖の事を語るシーンがあるのが素晴らしい!

『諸葛孔明』 陳舜臣 中公文庫

私が理想とする諸葛孔明はこれである。北方や谷の三国志では、孔明も殺人鬼で、自分の手で人殺しをするが、この作品の孔明は仏教徒であり、北の呂布・南の作融と言われた、暴れん坊の作融が剣を振りかざしているのに、平然と言葉だけで説得しようとするのだ。

『秘本三国志』 陳舜臣 文春文庫

まさしく秘本である。劉備玄徳が曹操孟徳以上の悪役で登場するのは空前絶後である。出来ればこれは、あらゆる三国志ものすべてを読んでから読んで欲しい。あっと驚く新解釈で展開するので、これを一番最初に読んでしまうと、他の三国志がなんとも甘い話に思…

『曹操〜魏の曹一族』 陳舜臣

本書の新しい視点は一族・家系図を徹底的に調査した点である。その結果浮かび上がるのは、曹一族と楊脩徳祖の楊一族の密接な関係である。楊脩の父も祖父も大活躍する素晴らしい小説である。楊脩の死後も楊脩の事が語られる素晴らしい小説である。

『三国志英雄ここにあり』『三国志英雄生きるべきか死すべきか』 柴田練三郎 講談社文庫

一番かっこいい三国志である。劉備と張飛の出会いは空から落ちてくる死体とともに始まるし、孔明が出盧する時に、孔明の妻は後顧の憂いにならないようにと、自害するし、男には個人的な愛を捨てても、世の為人の為に立たねばならぬ時があるのだ!

『aha! Insight ひらめき思考』 マーチン・ガードナー 日本経済新聞出版社

茂木健一郎のアハッ体験の元ネタ。30年前に別冊サイエンスとして読んだが、その時のペンネームはI・C・フリッカーという洒落た名前でしたよな。

『高原王記』 仁木英之 幻冬舎

ヒロイックファンタジー世界は世界を救う使命を帯びた勇者がメインになるのが普通だが、試練を乗り越えて精霊を味方にした勇者が、序盤で引退宣言してしまうのが、さすが、パラダイムシフトの天才の仁木英之である。

『諸葛孔明の憂鬱』 渡辺精一 東京書籍

これは辻真先とネタが被ってる三国志時代の密室殺人事件テーマの小説であるが、表の名探偵は当然孔明であるが、ラストであきらかになる本物の名探偵の正体にちょっと感動するかも。犯人探しではなくて探偵探しの物語(笑)

『三国演義』 安能務  講談社

道教の立場から羅貫中の間違いを正す決定版三国演義。権威ある(とされる)書物に書かれていることを鵜呑みにする学者馬鹿と違って、民衆の生活視点の立場を大事にする安能先生のポリシーは素晴らしいのだが、いくら民衆に受けたからと言って、道教の超常現…

『真実の三国志』 大澤良貴 宝島社新書

この薄さ(たった255ページ)でもちゃんと、楊修は登場します。楊修が登場しない三国志ものなんて、三国志の本質を理解してない2流の文筆作業員の手によるものである。この薄さで新書なら普通は研究書だが、一応、正史に基づいた小説である。

『反三国志』 周大荒 講談社

If三国志の元祖。正史がでたらめなのだと主張する作者であるが日本のトンデモ三国志に比べれば、渡辺精一先生の名訳のせいか、素晴らしい小説に思えてくる。

『大三国志』 下田景茂樹 講談社

出鱈目三国志のブームを作った元祖と酷評される本書であるが、後続したトンデモ三国志小説の群れに比べれば、まともに思える。流馬の正体を水陸両用輸送車としたのはメカフェチ心をくすぐる。

『小説三国志』 鄭飛石 光文社

周大荒の反三国志に似ている。

『孔明推理綺譚―幻説五丈原』 辻真先 光栄

五丈原で発生した密室殺人事件に、名探偵孔明が挑む!って、なんか勘違いしている作品。

『三国幻獣演義』 秋月達郎  ASPECT

まあ、どっちかと言えばファンタジーだけど、牛金と曹豹のファンにはお勧め。劉備にとって最大の宿命のライバルが曹豹だったなんて凄すぎる設定だ。

『破・三国志』 桐野作人 学研

蜀贔屓のIf物としてはまともな範疇に入るか?

『三国志蒼竜伝』 桐野作人 PHP出版

呉贔屓というか周瑜公瑾贔屓の作品。悪役孔明のみじめな最後を読みたい人向け。

『赤壁の宴』 藤水名子 講談社文庫

周瑜のファンには泣けるいい話かもしれない。愛しあってるのに肉体の関係になるのは踏みとどまる、孫策伯符と周瑜公瑾の愛はなんて切ないの!って、やっぱり女の子向けの話だね。

『公子曹植の恋』 藤水名子

曹植が主人公なら側近NO1の楊脩徳祖が大活躍すると思って読んだが、やっぱり私が甘かったです。楊脩はたった数行しか登場しません。

『三国志孔明死せず』 伴野朗 光栄

孔明も馬謖も死なないで、悪い発明をして人殺しに勤しむ作品。火薬を発明したのは実は孔明だったのだ!(笑)

『放浪の子竜趙雲』『天翔の騎士趙雲』 大場惑 光栄

女嫌いの趙雲にラブラブファイアーさせるというとんでもない作品。文武両道完全無欠の趙雲の只一つの欠点が女性蔑視主義なのが趙雲の魅力である。恋人を殺されて復讐を誓うキャラなんて三国志でなくてもどこにでもいるキャラやんけ。作者は色事に縁の無かっ…

『奇書三国志』 伏見健二 サンマーク出版

脳内革命というトンデモ本で有名な版元の三国志ものだから、企業イメージ通りのトンデモ三国志である。無能に思える劉備玄徳の下に有能な男達が集まったのは、劉備玄徳が実は美少女だったからというふざけた作品。中国の大人(ターレン)思想が理解出来てな…

『紀・三国志』 谷なんとか 

超能力少年孔明が黄巾賊退治する導入部からはじまるトンデモ三国志。この作者には別の三国志小説もあるが、この作品に呆れ果てたので読んでません。鎧兜を身につけず、剣を持たなかった孔明の美学が判らんのか、このタコ!人殺しの美学を求めるなら三国志に…

『三国志』 北方謙三

ハードボイルド馬鹿の出鱈目三国志。三国志を舞台にする必然性がないと言うか、三国志を侮辱するふざけた小説である。史実を捻じ曲げ、呂布や張飛や馬超等の肉体派のみを美化してる。楊脩徳祖は小者の代表みたいに扱われたあげく、鶏肋の謎を解けなかった故…