『曹操〜魏の曹一族』 陳舜臣

本書の新しい視点は一族・家系図を徹底的に調査した点である。

その結果浮かび上がるのは、

曹一族と楊脩徳祖の楊一族の密接な関係である。

楊脩の父も祖父も大活躍する素晴らしい小説である。

楊脩の死後も楊脩の事が語られる素晴らしい小説である。
三国志で楊脩ならびに楊一族が如何に重要な位置を占めていたかが理解出来る素晴らしい小説である。

孔子の20代目子孫の孔融を殺しても平然としていた曹操であったが、

魏帝国の未来を守る為とはいえ、楊脩を殺したことは、

曹操の小さな肝っ玉には負担だったらしく、

楊脩の処刑後、頭がおかしくなる曹操がリアルである。

曹操の死後に群臣と一族が悲しみにくれる場面で、

曹操が一番愛した女性が、

曹操も多くの人を悲しませてきたから、

曹操の死だけを嘆くのは間違いであると語り、

楊脩を殺された時に楊脩の父が曹操に送った手紙の名文句で、

曹操の死を嘆くのがとても深い。

如何に楊脩が重大なキャラであったかが理解出来る素晴らしいテキストである。

曹操〈上〉―魏の曹一族 (中公文庫)

曹操〈上〉―魏の曹一族 (中公文庫)

曹操〈下〉―魏の曹一族 (中公文庫)

曹操〈下〉―魏の曹一族 (中公文庫)