2011-05-27から1日間の記事一覧

『ソ連が満州に侵攻した夏〜かくして天皇の軍隊は百万邦人を見棄てた!』 半藤一利 文春文庫

「ノモンハンの夏」で人気大爆発した半藤一利の醒めたドキュメントである。左翼ならもっと大日本帝国軍の悪とアフォさ加減を激情に駆られた文で追及して欲しかった(藁

『三国志』 吉川英治 講談社文庫

吉川英治というと、説教臭い「宮本武蔵」の悪評のせいで、敬遠する諸兄もいるかもしれぬが、読みにくい「三国志演義」を日本人向けに翻案した本書は、小説メディアのなかではベスト1である。はっきり言っちゃえば、これさえ読んでおけば立派な三国志ファン…

『三国志演義』 羅貫中 徳間文庫

文体が古くて読み辛い。中国古典小説の特徴なのだが、人物の内面描写をほとんどしないので、感情移入しにくい。孔明死後の三国すべての滅亡の過程を知りたい人向け。ようするに、吉川三国志を読んだ後に、これの8巻だけを読めばいい。

『興亡三国志』 三好徹  集英社

楊脩徳祖にもっとも好意的な小説である。ビジネスジャンプの連載では曹操の死で終わったが、単行本ではそれ以後の時代を書き足しています。何と言っても楊脩徳祖の死後に孔明が楊脩徳祖の事を語るシーンがあるのが素晴らしい!

『諸葛孔明』 陳舜臣 中公文庫

私が理想とする諸葛孔明はこれである。北方や谷の三国志では、孔明も殺人鬼で、自分の手で人殺しをするが、この作品の孔明は仏教徒であり、北の呂布・南の作融と言われた、暴れん坊の作融が剣を振りかざしているのに、平然と言葉だけで説得しようとするのだ。

『秘本三国志』 陳舜臣 文春文庫

まさしく秘本である。劉備玄徳が曹操孟徳以上の悪役で登場するのは空前絶後である。出来ればこれは、あらゆる三国志ものすべてを読んでから読んで欲しい。あっと驚く新解釈で展開するので、これを一番最初に読んでしまうと、他の三国志がなんとも甘い話に思…

『曹操〜魏の曹一族』 陳舜臣

本書の新しい視点は一族・家系図を徹底的に調査した点である。その結果浮かび上がるのは、曹一族と楊脩徳祖の楊一族の密接な関係である。楊脩の父も祖父も大活躍する素晴らしい小説である。楊脩の死後も楊脩の事が語られる素晴らしい小説である。

『三国志英雄ここにあり』『三国志英雄生きるべきか死すべきか』 柴田練三郎 講談社文庫

一番かっこいい三国志である。劉備と張飛の出会いは空から落ちてくる死体とともに始まるし、孔明が出盧する時に、孔明の妻は後顧の憂いにならないようにと、自害するし、男には個人的な愛を捨てても、世の為人の為に立たねばならぬ時があるのだ!

『aha! Insight ひらめき思考』 マーチン・ガードナー 日本経済新聞出版社

茂木健一郎のアハッ体験の元ネタ。30年前に別冊サイエンスとして読んだが、その時のペンネームはI・C・フリッカーという洒落た名前でしたよな。

『高原王記』 仁木英之 幻冬舎

ヒロイックファンタジー世界は世界を救う使命を帯びた勇者がメインになるのが普通だが、試練を乗り越えて精霊を味方にした勇者が、序盤で引退宣言してしまうのが、さすが、パラダイムシフトの天才の仁木英之である。