『諸葛孔明』 陳舜臣 中公文庫
私が理想とする諸葛孔明はこれである。
北方や谷の三国志では、孔明も殺人鬼で、自分の手で人殺しをするが、
この作品の孔明は仏教徒であり、北の呂布・南の作融と言われた、
暴れん坊の作融が剣を振りかざしているのに、平然と言葉だけで説得しようとするのだ。
小説家の本質は不良少年や暴力団員に近いから、殺人鬼を美化したがる作家が多いのは理解出来るが、
人を殺さない美学ももっと描写してほしい。
曹操に追撃されて人民が巻き込まれて虐殺された時、この作品の孔明は
自分の家庭だけが幸福になっては、人民に申し訳ないと、
妻をわざと戦場に置き去りにするのだ。(っていうか、妻を守る為であっても剣を手にしない)
神も悪魔も人も畜生も魂の価値は同じだと何故理解出来ない?
強い支配者の味方をするのは、絶対神を認める西洋の精神である。
東洋人だったら弱いものに感情移入せんかい!一緒に戦うのではなくて、一緒に泣こう!
- 作者: 陳舜臣
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1993/10/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 49回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
- 作者: 陳舜臣
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1993/11/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (10件) を見る