『諸葛孔明』 陳舜臣 中公文庫

私が理想とする諸葛孔明はこれである。

北方や谷の三国志では、孔明も殺人鬼で、自分の手で人殺しをするが、

この作品の孔明仏教徒であり、北の呂布・南の作融と言われた、

暴れん坊の作融が剣を振りかざしているのに、平然と言葉だけで説得しようとするのだ。
小説家の本質は不良少年や暴力団員に近いから、殺人鬼を美化したがる作家が多いのは理解出来るが、

人を殺さない美学ももっと描写してほしい。

曹操に追撃されて人民が巻き込まれて虐殺された時、この作品の孔明

自分の家庭だけが幸福になっては、人民に申し訳ないと、

妻をわざと戦場に置き去りにするのだ。(っていうか、妻を守る為であっても剣を手にしない)

神も悪魔も人も畜生も魂の価値は同じだと何故理解出来ない?

強い支配者の味方をするのは、絶対神を認める西洋の精神である。

東洋人だったら弱いものに感情移入せんかい!一緒に戦うのではなくて、一緒に泣こう!

諸葛孔明〈上〉 (中公文庫)

諸葛孔明〈上〉 (中公文庫)

諸葛孔明〈下〉 (中公文庫)

諸葛孔明〈下〉 (中公文庫)