『ソ連が満州に侵攻した夏〜かくして天皇の軍隊は百万邦人を見棄てた!』 半藤一利 文春文庫

ノモンハンの夏」で人気大爆発した半藤一利の醒めたドキュメントである。

左翼ならもっと大日本帝国軍の悪とアフォさ加減を激情に駆られた文で追及して欲しかった(藁
しかし、右翼の人はこの本を読むのは辛いであろう。

歴史に例を見ない、世界一の悪で阿呆な大日本帝国軍。

それでも右翼にとっては、大日本帝国軍は強くてかっちょええ正義の軍隊であった筈だよな?

右翼はこう主張するだろう…。

「悪というのは、敵国からの視点であって、

 日本人が大日本帝国軍を悪呼ばわりするのは変ではあ〜りませんか?」

変ではありません。

昭和の大日本帝国軍は、天皇を守る軍隊であり、

日本国民を守る為の軍隊ではなかったのである。

アメリカが原爆を落とした為、戦後の利権獲得にあせったソ連満州に侵攻しましたが、

大日本帝国軍は満州開拓団を見棄ててさっさと撤退するんだもんな。

世界史でメジャーな悪のナチスドイツでさえ、

敗色濃厚になった後は、デーニッツ首相はドイツ国民を自国に帰還させることを優先して、

事実200万人以上の民間人を救ったのです。

昭和の大日本帝国軍は100万人の満州移民団を見棄てて逃げ帰るとは、恥ですな。

戦略眼の無いアフォの大日本帝国軍の指揮官の無能振りは有名であるが、

本書は何故無能になったかも考察している。

無能な指揮官というのは、判断力が無いからである。

何故、判断力が無いのかというと、

無知の上に責任感が無いからである。

国際法を遵守して日露戦争を戦った明治の大日本帝国軍は、世界中から絶賛されたが、

鬼とかイエローモンキーと呼称される昭和の大日本帝国軍は、

守るべき国際法に無知であったというのが真相らしい。

世界の常識を知らずに、日本は天皇様が統治する神の国と増長したのが、全ての失敗の本質だね。

日本が悪で阿呆だとしても、

日ソ不可侵条約を破って侵攻してきたソ連も悪いという説はもちろんあります。

世界一の悪は日本軍だが、世界二の悪はソ連軍でも0Kです。

ただし、ソ連軍は阿呆ではありません。

日本が降伏した8月15日以降も、ソ連軍は満州で虐殺を続けましたが、

虐殺してもOK、シベリア送りもOKという屁理屈を見事に捻くり出すので感動しますた(藁

この本でしかやってないマイナーネタを書いておく。

紀元前1500年から紀元1860年までのあいだに、

8400の条約が結ばれたが、その寿命の平均は二年であった。

(↑元ネタはジャン・バコンの「戦争症候群」だが藁)

石井細菌部隊の人事担当官には宮様がいた。

竹田宮である。

戦闘序列には宮田参謀という変名を使っているので見過ごしてしまうが、

皇族の一員が、細菌や毒ガスの研究者をせっせと満州に送り込んでいたのは、

本当は平和主義者だったと言われる昭和天皇の親戚として相応しくありませんね。(藁

この本には軍人としての朝香宮も登場しているが、

朝香宮同様、竹田宮家ももう存在してないのか?


声高々に叫べ!

「国民の敵、皇族に犯罪の責任を取らせろ!特に竹田宮出て来んか、ゴルァ!」

ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)

ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)