『絵画で読む聖書』 中丸明 新潮文庫

本書のベストセリフ

『イエスは人びとに祈りを教え、病気を癒しはしたが、

彼自身の手で洗礼を施すことはしなかった。

つまり、洗礼を授けるということは、「施し」の行為である。

相手より一段高いところに立った行為で、優越感を覚える行為である。

エスは、その優越的立場に立つことを拒まれたのではないだろうか』


エスの謙譲の博愛主義を捻じ曲げたキリスト教団は、

エスの行為を反故にする悪の組織だよなw

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『1ダースまであとひとつ』 山田正紀 光風社出版

「身元不明につき」
甘い生活
「夢で会いましょう」
自転車泥棒
「地獄表を見る男」
「しつけの問題」
「ビニールハウス」
「追放船」
「竜の侍」
「誰も知らない空港で」
「システムダウン」

ホラー、ミステリー、ノワール、ファンタジイ、SF、時代、ユーモアと

バラエティに富んだ短編集。

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『ブラッククロス』 グレッグ・アイルズ 講談社文庫

敵方のナチスのシェルナー少佐がデラかっちょええ!

悪のナチスなのに、ユダヤ人女性を強姦せずに、

一週間の心の準備を与える紳士。

敵のナチスにセクースを一週間は我慢出来る紳士を配し、

味方のイギリスコマンドは、現地妻と一晩に二発やるというケダモノw

ヒトラーは悪の権化と言うが、

いきなり完成された究極の悪として、

歴史に登場してきたわけではあるまい。

ヒトラーの暴走を止められなかった正義の連合国の責任も匂わす異色作。

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『ヘロデの夜』 山田正紀 出版芸術社

「ヘロデの夜」
「ユダの海」
「夢の試練」
プランクトンカンサー」
「呪われた翼」

の5編が収録されたSF短編集。

「ヘロデの夜」と「ユダの海」は同じ世界で、

全部原口一族の物語かと思ったが違った。

神に翻弄される原口一族の物語をもっと書いて欲しかったな。

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『パーク・サイドの殺人』 ヒラリー・ウォー ケイブンシャ文庫

私立探偵サイモン・ケイシリーズ。

『トップレス・バーの女』 よりは劣りますが、

サイモン・ケイのキャラは魅力的ざます。

ハードボイルドの主人公にしては、

欲望が少ないのがいいざんす。

基本的に煙草は吸わず、

独身主義なので、女も遠ざける努力をするという、

ストイックなヒーローなのが素晴らしい!

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『神君幻法帖』 山田正紀 徳間書店

山田風太郎の『甲賀忍法帖』のオマージュ。

効果は全く同じ忍法も出てくるが、

カタカナの科学用語を駆使した理屈が、

現代科学でより詳しくなってるのが読みどころ。

現在の科学知識で山田風太郎忍法帖をリメイクしたら

こうなるだろうという作品。

不死の忍者も空飛ぶ忍者ももちろん出ます。

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『もういやだ! この疲れた心を休め、甦らせてくれる心の専門家50人』 三楽舎

神はもちろん、魂も心も精神も存在しないと主張するのが、

科学教の信者である。

存在しない心の悩みという概念は大笑いである。

普通なら絶対読む事のない本だが、

三楽舎 から献本されたのでネタとして読んだ。

全国の心理カウンセラー50人を紹介した実用本だが、

読み物として面白くなるような努力は読み取れるので

エンタメ本として少しは評価していい。

心を救うというと、宗教方面にも入ってしまうが、

占い師、催眠術師、気功師霊媒師も、

救った実績がある人は出て来ます。

対面カウンセリングに留まらず、

ヒーラーとしてのトンデモネタも真面目に紹介されているのは、

科学教の信者には大爆笑である。

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『おとり捜査官 1 触覚』 山田正紀 朝日文庫

ポルノっぽいのも読者をミスリードする技法であり、

ありえない意外な犯人の本格推理の傑作。

強姦者と痴漢の犯罪心理は違うとか、

犯罪心理捜査官ものとしても傑作。

解説者はジェフリー・ディーヴァーリンカーン・ライムシリーズに

匹敵するかのように書いてます。

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『メロス・レヴェル』 黒武洋 幻冬舎文庫

サバイバルゲームの勝敗の面白さを追求したエンタメなのか、

人の絆の美しさ儚さを訴える文学なのか、

感動のパワーポイントが分散した感じ。

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『ホット・ロック』 ドナルド・E・ウエストレイク 角川文庫

泥棒ドートマンダーシリーズ第一作。

長編と言うより中篇連作な感じ?

メカを駆使した派手な面白い作戦もあるが、

ラストが地味でちょっとご都合主義に思う。

作者とユーモアのセンスが合う人には至高の作品だろう。

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