『黄金のドラゴン』 P・アンソニイ&R・マーグロフ 白石朗訳 現代教養文庫

女王様とお呼び!女神様とお呼び!オスカル様とお呼び!
愛〜それは〜甘く〜、愛〜それは〜せつなく〜、
と、男装の麗人の妹を引き連れて、少年は黄金のドラゴンを探す旅に出る。
並行世界の地球だが、現実世界の地球人とのハーフである少年は、
父が持ち込んだレーザーガンやパーソナルジェットを駆使し、
ドラゴンや魔法使いが存在するふざけたこの世界を統一しようとする。

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『エンダーのゲーム』 オースン・スコット・カード  野口幸夫 訳 ハヤカワ

異星人と終りなき宇宙戦争を戦っている人類は、
この戦争を終らせる者として、
その名もエンダー少年に究極の司令官養成プログラムを実行させた。
常に不利な状況を与えられるが、
エンダーは天才的才能を顕しシミュレーションウォーゲームに勝利し続ける。
エンダーこそエンダーになれる!
教官達は驚喜するが、プログラムに謎のハッカーが侵入していた・・・。

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『栄光の道』 R・A・ハインライン 矢野徹 訳 ハヤカワ

はっきり言ってしまえば、
ハインラインの作品でSFと言えるのは「夏への扉」だけであろう。
軍隊が存在するのが当然なアメリカに生まれた、
如何にもヤンキーヤンキーした作家の、
アメリカ的なSFもどきが、
アメリカでメジャーに成れたのは当たり前だ。
ネームバリューから言えばハインラインアシモフもクラークも同程度だろうが、
メジャーだから良いとは限らない代表がハインラインでしょうな。
J・P・ホーガンの出現によって、
ハインラインは完全に過去の遺物になった。
ありがとうハインライン
君が開拓したSFファンの存在には礼を言おう。
だが君の役目はもう終った。安らかに眠ってくれ。

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『永遠のチャンピオン エレコーゼ1』 マイクル・ムアコック 井辻朱美 訳 ハヤカワ

本書はヒロイック・ファンタジーの形を借りた純粋SF
(あー古臭い言い方やね!)です。
人類とは何者か?どこから来て、どこへ行くのか?
地球の文明を、宇宙の秩序を、継ぐのは誰か?という話です。
リン・カーターがエンターティンメントにしては暗すぎると言った哲学SFでもある。
SFの本でイギリスSFオールタイムベスト10に挙げた人がいるくらいの傑作である。
この作品を読まずしてヒロイック・ファンタジーなんてただ面白いだけの活劇さ
と嘯く奴はタコである。

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『内なる宇宙』 J・P・ホーガン 池央耿 訳 創元

世界でただ一つの本物の異世界ファンタジーである。
異世界だと言ったところで、
この作品に比較すれば所詮地球の過去か未来でしょ。
あるいは別の惑星でしょ。
もしくはコンピュータ内の仮想空間でしょ。
となる。
物理定数を少し変えただけのハードSFの別の宇宙も、
この作品の前では中途半端な計算にもとずくつまんない宇宙である。

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『失われた遺産』 R・A・ハインライン ハヤカワ

未来史シリーズ以外の中短編集である。
全体に現代を舞台としたファンタジー系の作品が多く、
主人公も小市民的な人物が多い。

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『ヴァレンタイン卿の城』 ロバート・シルヴァーバーグ 佐藤高子 訳 ハヤカワ

シルヴァーバーグが書いたとは信じられない、
ザンスの水準も越えている、
絶妙のストーリー展開の、
うーん、巧いなぁ・・・
と唸りながら読んでしまう、
シルヴァーバーグの唯一の大傑作である。

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『インフィニティ・リミテッド』 J・P・ホーガン 内田 昌之 訳 創元

これはホーガン本人ではなくて、
ホーガンの弟が書いた単なるスパイアクションである。
SF文庫に入ってますが、
SFではありません。
ローダンの第三課や第五列ものにも劣る愚作である。
SF作家の書いたSFでないスパイアクションものと言うと、
日本に山田正紀の「火神を盗め!」という傑作があったが、
「火神を盗め!」はSFではないが、
SF作家しか考え付かないような、
魅力的なギミックに満ち溢れていた。

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『アンドロメダ突破 アンドロメダ2』 F・ホイル&J・エリオット 伊藤哲 訳 ハヤカワ

迷宮のアンドローラを探せ!
イギリス全軍は行動を開始した。
だが軍は、アンドロメダからの通信情報によって建造された超コンピュータを破壊して逃亡した科学者の恥、
ジョン・フレミングを見つけたにすぎなかった。
アンドローラは島の迷宮の中で湖に落ちて死んだよ。
レミングが嘘を言ってないのなら、死体でも回収せねば!
だが死体は発見出来なかった。
超コンピュータに創られた人造人間といえども、人間と同じ肉体だった筈だ。水の中に落ちて浮かんでこなかったのなら、
中のどこかで死体となって引っ掛かっている筈だ。
まさか気持ち悪くて恥ずかしい超能力者だったのか?
軍の包囲網をどうやって突破したのだ?
アンドロメダのA、アンドロメダのアンドローラは?

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『アルタイルから来たイルカ』 マーガレット・セント・クレア 矢野徹 訳 ハヤカワ

女流作家で、しかも矢野徹訳なら、
きっと泣ける話に違いないと思って買った。
泣けましたね。あまりにもばかばかしくて、
涙がチョチョぎれましたね。

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『アインシュタイン交点』 サミュエル・R・ディレイニー ハヤカワ

ディレイニー版「フィネガンズ・ウェイク」である。
神話譚、オルフェウスもの。
タイトルの正式な意味は、
アインシュタイン曲線とゲーデル曲線の交点である。

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