『栄光の道』 R・A・ハインライン 矢野徹 訳 ハヤカワ

はっきり言ってしまえば、
ハインラインの作品でSFと言えるのは「夏への扉」だけであろう。
軍隊が存在するのが当然なアメリカに生まれた、
如何にもヤンキーヤンキーした作家の、
アメリカ的なSFもどきが、
アメリカでメジャーに成れたのは当たり前だ。
ネームバリューから言えばハインラインアシモフもクラークも同程度だろうが、
メジャーだから良いとは限らない代表がハインラインでしょうな。
J・P・ホーガンの出現によって、
ハインラインは完全に過去の遺物になった。
ありがとうハインライン
君が開拓したSFファンの存在には礼を言おう。
だが君の役目はもう終った。安らかに眠ってくれ。
で、本書ですが、成人して成熟したアムロ・レイとセイラが、
”貴方なら出来るわ””君なら出来るよ”
と励ましあってカリオストロの城に隠されたお宝を盗む為にヒロイックファンタジーの世界で人殺しをする話です。
と書いたらアニメ野郎にもSFミーハーにもぶっ殺されるか?
ま、矢野徹氏の名訳による言葉遊びを楽しめばいい本。
ハインラインはSF作家の中ではストーリーテラーと言っていいが、
その信じる理念があまりにも低レベルの為に、
面白い筈の話も面白くなくなってしまうのは、まことに惜しいことである。

栄光の道 (ハヤカワ文庫 SF 340)

栄光の道 (ハヤカワ文庫 SF 340)