2011-07-19から1日間の記事一覧

『仮面(ペルソナ)』 山田正紀 幻冬舎文庫

山田正紀 版『火刑法廷』。二重に解釈出来る文というか、中立の語り手と犯人の捏造と探偵の謎解きが、同時に一つの視点として語られる驚異の三重構造。問題提示編と解決編を同時に語る驚愕の叙述トリックが爆裂する。ダイイングメッセージものとしても巧い。

『夏姫春秋』 宮城谷昌光 講談社文庫

抱いた男は全て死ぬか、国を追われる破目になる、凶風の持ち主、鄭の公女夏姫に関わった男達の物語。夏姫を抱かなかった楚の荘公(旅)の偉大さがよく理解出来ます。私は春秋時代で一番好きな国は斉だが、これを読んで楚もイイ!と思うようになりました。ちな…

『汚辱のゲーム』 ディーン・クーンツ 講談社文庫

終盤で天然ボケのお馬鹿なクーンツ節が爆裂するが、ラストの怒涛の展開に至るまでが退屈すぎて駄目。下巻だけ読めといいたいが、ミステリとしての伏線は上巻にも埋まっているし、やっぱ辛くても上巻から読まないとアカンな。解説の春日武彦はラスト100Pで小…

『トワイライト・アイズ』  ディーン・R・クーンツ 角川ホラー文庫

クー様 は三人称のカットバックが普通だが、これは少年の一人称で最後まで突っ走るレアなパターン。少年の内面描写や比喩表現がややうざい文学寄りのカーニバルファンタジーホラー。文体が青くワケワカランのは、スタージョンのアレを意識してるのだろう。不…

『延暦十三年のフランケンシュタイン』 山田正紀 徳間書店

最澄や空海が出てくる時代小説。最澄対空海、空海対フランケンシュタインの呪術バトルをもっと読みたかった。

『12月の扉』 ディーン・R・クーンツ 創元推理文庫

標準的なクーンツだが、いつもと違うパターンもある。

『天正マクベス―修道士シャグスペアの華麗なる冒険』 山田正紀 原書房

本書のベストセリフ「信長は一人の吝嗇漢に他ならない。後世に評される革命児などというたいそうなものではない」 本能寺の変とシェイクスピアの謎をまとめて解決する、天才的な歴史ミステリー。

『黄金の王 白銀の王』 沢村凛 幻冬舎

はずゅかしい表紙イラストだが、大傑作。中華風の架空の島国を舞台にしたポリティカルファンタジーである。異世界であるが、魔法等のふざけたものは無しのハードな作品。易姓革命でも万世一系でもなく、先祖の姓が同じ同族が、国王の地位を簒奪し続けてきた…

『闇へ降りゆく―ストレンジ・ハイウェイズ2』  ディーン・クーンツ 扶桑社ミステリー文庫

「フン族のアッチラ女王」(Miss Attila the Hum) 「闇へ降りゆく」(Down in the Darkness) 「オリーの手」(Olie's Hands) 「罠」(Trapped) 「ブルーノ」(Bruno) 「ひったくり」(Snatcher) 「ぼくたち三人」(We Three)の7編が収録された超絶の短編集。SFホラ…

『雷鳴の館』 ディーン・R・クーンツ 扶桑社ミステリー文庫

まさに究極のエニグマ。ベタなタイトルで幽霊やゾンビが出て来て、ホラーでしかありえないと思うと、島田荘司に匹敵する大スケールのトリックで、超常現象を科学的合理的に説明し、実はミステリだったと判る話。