『黄金の王 白銀の王』 沢村凛 幻冬舎
はずゅかしい表紙イラストだが、大傑作。
中華風の架空の島国を舞台にしたポリティカルファンタジーである。
異世界であるが、魔法等のふざけたものは無しのハードな作品。
先祖の姓が同じ同族が、国王の地位を簒奪し続けてきた国での話。
今上王は、海の彼方に火薬という新兵器を持つ大陸国家の存在を知り、
島国の中で同じ民族が戦争を繰り返す歴史を改めようとする。
お互いが親の仇である氏族の棟梁が結託し、
私利私欲を捨て国家国民の為に奮闘する感動作品。
戦う宿命の二族なので、
現政権氏族でないものが現政権に協力する事は、
親の仇も討てない臆病者と罵られる。
それでも二人は協力し、国を一つにまとめようとする。
そしてやってくる海外からの侵略者。
二人の目論見は成功するのか?
素晴しい政治家を描いている。
史実で彼らを超えるのは諸葛孔明ぐらいであろう。
政治闘争というものは、国と国民の利益より、
自分の所属政党の利益を優先するものだが、
この小説の二人の主人公みたいな政治家が出てくれば、
お国はずっとよくなるが、
こんな政治家は魔法や超能力や宇宙人並みにありえない。
現実に存在するわけがない政治家を描いたことがファンタジィであるという、
現実のレベルの低さに虚しくなるファンタジィである。
政治家を志す可能性のあるおっさんにも手に取りやすいように、
表紙イラストは渋いおっさんの絵にするべきだったと思う。
表紙の人物は誰なんだ?
- 作者: 沢村凜
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/10
- メディア: 単行本
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