『機神兵団』 山田正紀 ハルキ文庫
昭和12年の上海に宇宙人来襲!宇宙人の戦闘ロボットの残骸を分析し、大日本帝国は対宇宙人専用の独立戦闘隊機神兵団を結成。全長20メートルのロボット3体のパイロットとして個性溢れる3人が集まる。機神兵団初出撃までを描く第一巻である。漫画版やアニメ版が有名なので、単純な巨大ロボットものかと舐めていたが、もちろん反日思想に溢れ、SFとしてもドンデン返しがありそうな巧い導入部である。機神兵団が作られるのが早過ぎるのは何か理由があるよな。
プロローグで機神兵団の初戦闘が描かれ、本編はロボットほとんど無しの謀略小説。敵は石原莞爾を師と仰ぐ関東軍参謀。正確には石室莞爾の名で石原莞爾が紹介されているが、莞爾は日蓮萌えのヤバイ宗教がかったカリスマで、現在でも危ない信者が居ると思われるので、正紀の自己防衛策だな。陸戦特化1号ロボ雷神の美少年パイロット白蘭花(バーレーホー)が実は女疑惑が発生!いやぁぁぁ、白蘭花クンは美少年よぉぉぉ!!
戦闘ロボット、戦闘円盤に加え、宇宙人は生物兵器も投入する。炭疽菌に軍馬は倒れ、イナゴの大群が飛び交い、巨大蚕が糸を吐いて攻撃してくる!モスラの幼虫かよっ!一番凄いのは、実はモスラではなくて、カカシだな。藁と木の案山子が歩いて攻撃してくる!?なんて楽しいんだ。精神汚染攻撃も有り。「人類は滅びるのが宇宙の摂理、人類は滅びなければならない」空も水も地形適応無しの1号機が今回空を飛ぶ破目になるのも素晴しいカタルシス。
渤海の宇宙人の要塞島を陸軍中野学校の工作員と協力して破壊して、物語はまたロボットを使わない謀略物に(笑)正紀は昭和初期の激動の時代を舞台にして冒険謀略物を書きたかったのか?関東軍参謀本部ではなくて、市ヶ谷の直属の上部組織の参謀本部が機神兵団の敵に回る。ロボットを使わない任務を与えパイロットを謀殺しようとする。危険が危ない!味方の筈の日本軍は全て敵!!どうなる機神兵団!!
祖国日本に裏切られ日本軍と戦う破目になった機神兵団。兵団員は軍の権威も国籍も性別も超越したような自由闊達なメンバーが多いが、水陸両用2号ロボ竜神のパイロット榊大作は愛国心溢れる普通の軍人だった。自分の命が危険になっても味方であった日本人を殺せない大作ではあったが、暴走モード発動でついに日本人を打ち殺す!?と其の時、宇宙人の空飛ぶ円盤からの怪光線を浴びた大作の心は浄化され、殺人衝動が消える。兵団は日本軍から逃げ延び東ヨーロッパへ亡命。これからの敵はナチスの戦闘ロボットだっ!SF仮想戦記としてワクワクな新展開
機神兵団の新たなヨーロッパの拠点、東欧の小国・ルッチェランドでの戦いが開始される。まずは親ナチスドイツのルッチェランドの独裁者追放戦だっ!だが、ルッチェランドにはナチスの巨大ロボット隊のプロトタイプロボット新時代が存在していた!!竜神vs新時代の戦いが開始される。竜神は河川潜行中に機雷に右足をやられ、陸上機動がままならず、知恵と技の戦いを駆使するが倒れる。そこに駆けつけるのはもちろん雷神だっ!其の頃風神は逃げ出した独裁者を追って機関車を襲っていた。そしてルッチェランドのお姫様とラブラブファイヤーだっ!()
ナチスドイツとの巨大ロボット3体との戦闘が開始されるが、地形適応同じタイプでの1対1の戦いが3戦行われ、機神兵団側が全てに不利。機神兵団の3人のパイロットは祖国でもない東欧の小国を守る為に、全員がナチスロボにしがみついて自爆して相討ちにもちこんで死ぬ。機神兵団の母艦の装甲戦闘列車も体当たりして、整備員も通信兵も輜重兵も全滅。まだ3巻あるのにどうなるやら。まあ、実は生きていた!ネタ発動だろうが、主人公側が最初に所属している国家を裏切り途中で全滅するという凄いシリーズである。
機神兵団全滅から2年後の1941年4月、ゴビ砂漠でトンデモナイ事が起こっているとの情報を入手したアメリカと日本の情報部は調査隊を派遣。アメリカ隊は砂漠に不時着していたナチスドイツのスツーカ爆撃機を発見する。スツーカのコクピットで気絶していたのは、死んだ筈の機神兵団パイロット真澄公彦だった!そして敦煌の洞窟に機神が仏像として復活!機神3機とパイロット3人の復活を描く道教SF!?()人間の考えでは死んだ筈の3人が復活するのは、奇蹟。道教マニアの宇宙人が味方になったぽい。ロボットSFと思わせてやはり本格SF
時間SF宇宙論SF進化論SFとして爆裂!ロボットSFとしてはアメリカ製の巨大ロボットとの戦闘シーンがエピローグに数Pあるのみ()どう結末つけるのか、本格SFとして次巻最終巻は凄い結末になりそう。*1ワクワク。
最終巻のプロローグは1992年!?第二次世界大戦前後の仮想戦記の筈だったが、あっと驚く新展開!!そして1941年の本編では、機神兵団最後の最強の敵との戦いが開始される。敵は陸戦最強の1号ロボ!!水陸両用2号ロボは、宇宙の摂理を守る為、1号と相討ちになって、深い地下洞窟に落下して消える。そして無人の3号ロボは空飛ぶ円盤と合体して宇宙に消える。機神兵団は歴史からも消える。10巻分が壮大な序章だったと判る驚天動地の結末。星に祈りを。神は助けてくれないが、神のような宇宙人は助けてくれるかも。「機神兵団発進せよ!」
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*1:o(´∀`)o