『螺旋の月―宝石泥棒2』 山田正紀 ハルキ文庫

『宝石泥棒』の続編でファンタジー世界から舞台は宇宙になると思い込んでいたが、序章は人類が滅亡してから400万年後の地球の支配者蛸人間の話である。

人間以外の知的存在を描写出来るのはSFしかない。これぞSFやねと狂喜しますた。で続編として前作の主人公のジローの新たな冒険(直径600km地殻の厚さ5km中心に須弥山がある宇宙?)が始まる前に、現代日本の次郎青年の物語が開始される。

ジローのファンタジー世界は、中国神話の凶神、窮奇、渾沌、檮杌、饕餮が支配する世界である。不死なる神と戦う過程でジローがゾンビになってしまう!凄い!!

窮奇と渾沌の次の敵饕餮は時間を支配する神であった。近づくだけで不整脈に苦しみ、睡眠周期を狂わされ眠くなってしまう。時間を操る神を倒せるのか?時間を破壊すると言う事は自殺と同義ではないか?ジローは苦悩しながらも神と相打ちになる覚悟で戦いに挑む。

そして『第四の敵』『最後の敵』檮杌の正体はあっと驚くものであった。エンタメの常識を覆す前代未聞の敵!意外過ぎて絶対本作は映画化されないと保証する。ハリウッド映画はもちろん、地球人=白人の人間中心主義に汚染されているぎゃあこくSF小説でもこのネタはやってないだろう。

終章はもちろん人類の滅びた400万年後の東京渋谷。
人類は滅びてるのに爽やかな希望に満ちた素晴しいエンディングを迎える。
必読SFである。

螺旋の月―宝石泥棒2〈上〉 (ハルキ文庫)

螺旋の月―宝石泥棒2〈上〉 (ハルキ文庫)

螺旋の月―宝石泥棒2〈下〉 (ハルキ文庫)

螺旋の月―宝石泥棒2〈下〉 (ハルキ文庫)