『超能力・霊能力解明マニュアル』 大槻義彦 筑摩書房

超能力・霊能力のトリックを暴いたもの。

科学的に検証し、一部のテレパシー現象は認めているのは意外であった。

脳は脳波ではない別の微弱な電波を発信しており、

普通の人の到達距離はほんの数メートルだが、

特異体質ならもっと長距離も有り得る。

全く同じ脳を持つ双子は、脳内電波のアンテナの周波数も同じである。

双子間なら電波の受信も可能で、

俗に言う虫の知らせは、これではないかと大槻教授は考察している。

大槻教授は超能力・霊現象否定派の筆頭みたいに思われているが、

存在するのなら存在して欲しいという願望がこの本からは読み取れます。

存在して欲しいので真面目に解明したら、

一部のテレパシー現象以外は全てインチキであると解明出来てしまったという本です。

タネをテキトーに列挙する。


水道流を曲げるタネ:ナイロン製の下着や毛皮の上着を着て、ゴム靴を履いて、体にためた静電気で曲げる。

念写のタネ:ラジウム放射能、温度変化、圧力、電波(電子レンジ)、静電気等で感光させる。

心霊写真のタネ:性能の悪いレンズは二重反射を起し、不思議な写真になることがある。他の原因はハレーション、多重露出、ようは全て光の屈折と反射のいたずらである。

雲を操るタネ:消す場合は朝8時から10時までに山間地で積雲を指定(層雲や巻雲はなかなか消えない)、
作る場合は午後2時頃に作ると宣言して指差せばOK。

手で持った蛍光灯を点灯させるタネ:静電気人間、強電界地域、高周波放射地域。

コックリさんのタネ:動くのはフラクチュエーションという物理現象、霊の呪いや治療は全て暗示効果。

ピラミッドパワーのタネ:岩盤が軋んで摩擦で電気が発生している。ピラミッドはでかいから発生する。ほんの数メートルのレプリカピラミッドグッズでは発生しない。


もっとも基本的な重要なことは、

距離の自乗に反比例して小さくならない「力」は存在することが出来ない。

という「力」の本質である。

超能力だろうと霊力だろうと手力だろうと、

存在する為には、この法則にのっとる必要があるのだ。

無限力などは自己矛盾の塊である。

無限の力を持つ神は存在出来ないのだ。

存在する為には、有限の制約が必要なのである。

科学は神が存在出来ないことを既に証明している。

科学的な思考が出来る人は宗教を認めない。

絶対的な力(救い)というのは自己矛盾するのだ。

科学的思考出来る者は、絶対的権力者の存在を認めない民主主義者になるのだ。


声高々に叫べ!

「民主主義を守りたいのなら、オカルト思考は犬に食わせろ!」