『最後の敵―モンスターのM・ミュータントのM』 山田正紀 徳間文庫

重力・電磁力・核力・弱い相互作用とは別の第五の力が発見され、

第六の力を探す過程で、

第五の力で人類が滅亡しそうになり、

人類滅亡を防ごうとする話である。
電磁力・核力・弱い相互作用は、

素粒子に関して相互に密接な関係があるが、

重力だけが別のパターンに見える。

自然はシンメトリーになる傾向があるので、

重力に密接に関係する第五と第六の力が存在する筈だという

SFならではの仮説が素晴しい。

第五の力の悪影響によって、インポの男が増え始め、

人類は種としてのデットエンドに追い込まれる。

木星付近で第五の力が強く観察される。

木星を調査した人類は、

木星で新しい生命が発生しているのを発見する。

そして自然ではありえない現象、

木星から衛星が飛び出し、地球衝突コースに乗ったのだ!

第五の力を操るものは、

人類を失敗作として宇宙から消滅させ、

木星生命を星を継ぐものに成長させるつもりなのか?

敵は神に匹敵する存在か!

創造主だからと言って、

自意識のある生命を虐殺していいのか?

人類のミュータントの新人類は、超能力に目覚め、

神のようなモンスターと対決する覚悟を決める。

そして現れる最後の敵の正体は!

アーサー・C・クラークジェイムズ・P・ホーガン のアレは、

山田正紀 を盗作していたのかと言いたくなる凄い一作。

描写方法はハードSFではなくて、

P・K・ディック 的な重層世界なので、さらに凄い。

ラリイ・ニーヴン のアレや装甲騎兵ボトムズのアレも吹っ飛ぶ、

至高の究極の遺伝子ネタも爆裂します。

例によって並みのSFの3倍以上のアイデアが詰まった傑作でした。