『柳生大戦争』 荒山徹 講談社

タイトルは柳生一族が巻き込まれた

朝鮮vs後金(清)の大戦争という意味である。

最初の10Pと最後の10Pを朗読して聞かせて、

同じ本だと看破出来る奴は一人もいないだろう。

元寇日本海に沈んだ朝鮮兵を弔う為に、

命懸けで野蛮な敵国倭に渡ろうとする、

朝鮮僧を主人公にした格調高い歴史文学が、

落語の考えオチみたいに終りますw

純文学よりエンタメの方が大きな可能性を持つ

優れた表現形式だと認識出来る傑作である。

荒山先生の暴走は、司馬遼太郎 にも容赦がない。

朝鮮の歴史ものに対しては、司馬遼太郎 より

井上祐美子の方を高評価されております。

山田風太郎 の「信玄忍法帖」で雑魚扱いされ、<忍法時しぐれ>の前に呆気なく敗退する剣豪

神後伊豆(上泉伊勢守信綱の片腕)が

重要な役回りで出てくるので、

神後伊豆のファン(いるのか?)の方は必読。
柳生友矩と将軍家光の男色シーンもイパーイありますので、

ヤオイスキーの腐女子の皆さんも必読である。

朝鮮柳生(笑)の美少年剣士団も出ますわよw

柳生ものではない荒山先生のあの作品も絡みます。

あの作品読んでないと、ラストの興奮度が薄まると思うので、

満点は付けないが、

エンタメの無限の可能性を提示した大傑作である。

初荒山としては勧めない。

蟹のギャグは山田風太郎朝鮮人忍者鴻天忠へのオマージュか?

書くの忘れたが柳生十兵衛ももちろん出ます。

柳生十兵衛の扱いが酷いのが荒山作品w

今回の主人公は柳生友矩だよね。

柳生友景は出ません。

朝鮮妖術師は出ます。

柳生大戦争 (講談社文庫)

柳生大戦争 (講談社文庫)