『あの戦争になぜ負けたのか』 半藤一利 他 文春新書

おんなじような面子集めては

おんなじようなことばかりネタにしている半藤ファミリーだが、

例によってネタ被りは多いが、

本書は、ネタの薀蓄合戦に留まらず、

新しい史観を提供しようとしている志の高さがある。

あの戦争をネタにすると自虐史観自慢史観に囚われる奴が多いが、

本書はアウフヘーベンしてます。

自虐史観なら悪で阿呆の侵略者大日本帝国軍、

自慢史観ならアジア解放に力戦奮闘したかっちょええ正義の大日本帝国

となるが、本書はそのどちらでもない、

アホというかキ○ガイであるが、素晴しい大日本帝国軍というテーゼが開示されます。

第一部 座談会 あの戦争になぜ負けたのか

出席者 半藤一利保阪正康中西輝政、戸郄一成、福田和也加藤陽子

1 対米戦争の目的は何だったのか
2 ヒトラーとの同盟は昭和史の謎
3 開明派・海軍が持つ致命的欠点
4 陸軍エリートはどこで間違えた
5 大元帥陛下・昭和天皇の孤独
6 新聞も国民も戦争に熱狂した
7 真珠湾の罠 大戦略なき戦い
8 特攻、玉砕、零戦戦艦大和

第二部 あの戦争に思うこと

空しかった首脳会議 半藤一利
八月九日の最高戦争指導会議 保阪正康
私の太平洋戦争観 中西輝政
果たされなかった死者との約束 戸郄一成
戦わなかった戦争から学ぶということ 福田和也
戦争を決意させたもの 加藤陽子

アホなエピソード満載の自虐史観だけで、

私は充分楽しめるが、

日本人論としても意外と知的興奮する良書である。

で、この本でしかやってないアホなエピソードを紹介しておこう。

ガダルカナル島の戦いは餓島と呼称されるように、

餓死者が多く同胞の人肉を食らった悲惨な戦いで、

ギャグのネタにするのは許されない空気があったが、

戦争体験者が減って抗議される確率が減ったので、

遂に半藤が開陳しましたぞ!

大日本帝国海軍ガダルカナルの海図を作ったのは、

ガダルカナルの戦いが終った後からだったそうですw

私は常々大日本帝国軍の高級将校は現代の小学生よりもアホだと主張してきたが、

地図の重要性も理解してなかったとは、

初めてのお使いに行く幼稚園児にも劣るよなw

地図にも載ってないどうでもいい島の外見が、

飛行場を作るのに適していたので、

作りやすいので飛行場を作って軍事基地にしたので、

戦場になったのです。

どこかを攻める為に基地を作るのが普通の軍隊だろうが、

攻める計画も何もないのに、

作りやすいのでとりあえず作ってみましたという思考は、

戦争目的で戦争していた軍隊とは思えないよなw

アホすぎてギャグとしか思えないが、

大日本帝国軍のアホさ加減に、

指導者の高級将校は実は外国のスパイで、

一生懸命負ける努力をしていたのではないか?

という説も真面目に考察されています。

台湾特務機関CCの工作員、陳兄弟がその情報を持っていたらしい。

ソ連のスパイだったその軍人の名も一応書かれてます。

マイナーな軍人だからあんまり意外性はないが、

部下を死地に追いやり自分は責任を取らずに生き延びた軍人は、

実は全員外国のスパイだったという証拠が、

これからドンドン出てくると思います。

戦死した将校と自害した将校以外は、

全員外国のスパイだったという説が、

これからの主流になるであろうな。