『芸術のパトロンたち』 高階秀爾 岩波新書

パトロンたちと芸術家たちの様々なエピソードを羅列しただけの本ではない。

社会史(文学家の話題もあります)学的に、

美術の歴史に則って語られる芸術論である。

世界一有名な芸術ネタの本は、

ヴァザーリの「芸術家列伝」だと思うが、

我らの高階秀爾 大先生は、

致命的な誤訳を指摘する!

ヴァザーリが「芸術家列伝」を書いた16世紀中葉の時代には、

芸術家(ARTISTA)という単語は存在しなかったのである。
職業ギルドとしては、

彫刻家は石大工職人、

画家は薬屋(絵の具の顔料は薬と同じ成分)に分類される。

音楽には深い知性と精神性があるが、

美術なんて、頭を使わない肉体労働と思われていたのである。

ルネッサンス時代の素晴しい芸術家なんていう表現は間違いなのである。

ルネッサンスなんて、宗教に囚われた暗黒の中世時代だという

私の持論が補填されてマンセーである。

私はレオナルド・ダ・ヴィンチの絵に全然感動出来ないが、

それも当たり前、そもそも芸術ではないのである。

美術史学的にはルネッサンス時代はどんどん短くなってきたそうである。

単なる中世の続きか、ゴシックの前哨として、

ルネッサンス時代を無くそうという動きもあるそうである。

ミケランジェロという天才がいたので、

ルネッサンス時代が凄そうに見えるが、

ルネッサンスなんてわざわざ時代表記する価値ないよなw

一番優れている媒体は文字だと私は思っているが、

ゲーテ等の名立たる文豪が、

最初は美術批評家としてデビューしたというエピソードが多くて、

文学至上主義(正確には大衆文学であるがw)の私は喝采を送りましたぞ。

知的レベルが低くてもネタに出来るのが芸術。

レベルアップした知的な男は文学のみに邁進しようぜ!w

芸術のパトロンたち (岩波新書)

芸術のパトロンたち (岩波新書)