『千尋の闇』 ロバート・ゴダード 創元推理文庫

本格推理というより、歴史小説というか、文学。

ワクワク感ドキドキ感が少なすぎてダメポ。

最初の250Pは25Pに刈り込んで欲しかった。

一人称の中に他人の手記が挟まれる構成だが、

入れ子構造は単純な二重である。

三重みたいにカバーには書かれているが、

二重が2回出てくるだけである。

解説ではプロットを絶賛しているが、単純である。

手記がインポートされるミステリとしては、

桐野夏生 の『グロテスク』 の方が遥かに傑作。
これは、情景描写がうっとおしいし、

文学が好きな人は高評価するかもしれない。

主人公が糞なのが最大の欠点。

教え子に手を付けて、高校教師を首になった奴が主人公。

強姦ではなくて、女子生徒の方から誘い、

和姦の筈なのに、事が済んでから、

強姦だったと訴えられて主人公は首になるのだが、

子供の語る愛を信じるのがアフォ。

子供に誘われてホイホイとやってしまうのが浅はか。

主人公は「僕には幸福になる権利はないのか」と苦悩するが、

自業自得の馬鹿だから、そのとおりと突っ込んでしまったぞ。

歴史ミステリとしてチャーチルが犯人と臭わせるのは面白かったが、

イギリスの英雄のチャーチルが真犯人なんていうミステリが、

イギリスで出版出来る筈もないし、無駄なミスリード

解説では無駄が無いと絶賛しているが、

私にとっては無駄が多すぎる駄作でした。

千尋の闇〈上〉 (創元推理文庫)

千尋の闇〈上〉 (創元推理文庫)