『死の淵より』 高見順 日本図書センター
本書のベスト詩
花
「カトレアだとか
すてきなバラだとか
すばらしい見舞いの花がいっぱいです
せっかくのご好意に
ケチをつけるようで申しわけありませんが
人間で言えば庶民の
ごくありきたりの でも けなげな花
甘やかされず媚びられず
自分ひとりで生きている花に僕は会いたい
つまり僕は僕の友人に会いたいのです
すなわち僕は僕の大事な一部に会いたいのです」
高見順は日本一の詩人である。
詩人といえば、病弱で病気で死ぬ必要があるが、
高見順は四度の大手術の果てに、
ガンで見事に死んでます。
中原中也の方が若くして死んだような気もするが、
中也は小林秀雄と女を取り合った
性欲ギラギラの人生送ったので、
詩人としての爽やかさに欠けるので次点。
ガンで余命がないと判りながらも、
血反吐を吐き、
二、三行書いてはぶっ倒れて、
起きて書いて倒れてを繰り返して死んだ高見順は
まことに理想の詩人と言えよう。
死を前にしても深刻な呪詛の詩はないのは凄いよね。
バラ色の未来が保障されているのに、
グタグタと暗い詩を書く若者は、
被害妄想のきち○いだと思います。
- 作者: 高見順,佐々木幹郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/02/04
- メディア: 文庫
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