『死の淵より』 高見順 日本図書センター

永井荷風の従弟だが、いまいちマイナーな高見順ではある。

娘の高見恭子というか、娘婿の馳浩の方が有名だよなw

本書のベスト詩

「カトレアだとか

すてきなバラだとか

すばらしい見舞いの花がいっぱいです

せっかくのご好意に

ケチをつけるようで申しわけありませんが

人間で言えば庶民の

ごくありきたりの でも けなげな花

甘やかされず媚びられず

自分ひとりで生きている花に僕は会いたい

つまり僕は僕の友人に会いたいのです

すなわち僕は僕の大事な一部に会いたいのです」


詩人高見順というより、高見順賞の方が有名かもしれんが、

高見順は日本一の詩人である。

詩人といえば、病弱で病気で死ぬ必要があるが、

高見順は四度の大手術の果てに、

ガンで見事に死んでます。

中原中也の方が若くして死んだような気もするが、

中也は小林秀雄と女を取り合った

性欲ギラギラの人生送ったので、

詩人としての爽やかさに欠けるので次点。

ガンで余命がないと判りながらも、

血反吐を吐き、

二、三行書いてはぶっ倒れて、

起きて書いて倒れてを繰り返して死んだ高見順

まことに理想の詩人と言えよう。

死を前にしても深刻な呪詛の詩はないのは凄いよね。

バラ色の未来が保障されているのに、

グタグタと暗い詩を書く若者は、

被害妄想のきち○いだと思います。

死の淵より (講談社文芸文庫)

死の淵より (講談社文芸文庫)