『未来からのホットライン』 ジェイムズ・P・ホーガン 

THRICE UPON A TIME

無理すれば「夏への扉」と「マホメットを殺した男たち」と「タイムトンネル」と

復活の日」と「さよならジュピター」を足して5で割ったものが本書であると言えるかも知れない。

さすがホーガン、時間論のみの時間SFではないのである。

時間と空間は切り離せないものであり、例によってのこれがSFだ!

という感動を与えてくれる宇宙論が展開します。
時間テーマではあるが、人間が乗れるようなタイムマシンは登場しません。

時間を超越したPRINT機能を備えたコンピュータが出てくるだけである。

しかし過去も未来も24時間以内にしか有効でないのだ。

だが過去に情報を伝えることは出来る。

さあパラドックスが生じる!

直列宇宙か多元宇宙か?


ま、パラドックスの処理の仕方はよくあるタイプである。

本書はやはりハードSFとして楽しむべきである。

2010年の人類に迫る危機を、一日過去にしか連絡出来ないのに、どうやって回避するかである。

三冊分の事件とアイデアは充分楽しめます。

そしてもちろん猫も登場する。

ハインラインの「夏への扉」が時間SFのベスト1であると同時に猫小説の傑作であったように、

本書においても猫のマックは重要な意味を持っている。

「巨人たちの星」と重複しているキャラがいるのもサービスよ!ホーガンさん好き!(はあと)

ユリ・ゲラーを科学者さえ騙した世紀のペテン師として例にあげてるのも良い!

「巨人たちの星」でも言っていたが、超能力や神などを信じる事が如何に人類にとって有害であるか、

ホーガンの論理は明確に説明してくれていいね。

科学的に物事を見る目、冷静な論理思考のみが人類を幸福で平和で豊かな社会へと導くものなのだ。

知性こそが人類を救うのである。

神の愛も軍隊の防衛力もなんの解決にはならんのだよ…。