『ドルセイへの道』 ゴードン・R・ディクスン 創元
NECROMANCER
本書の時代は21世紀、「ドルセイ!」より前のエピソードになる。
ドナルが生まれた軍人惑星ドルセイにまだテラナーが植民以前のお話であり、
本文中にドルセイのドの字も出てこないが、本書は「ドルセイ!」の前編ではなくて続編なのである。
おっとっと!こう書くとラストのドンデン返しが判っちゃうか?
まっ、SFではよくあることである。
結末が良かったからいいものの、本書は一歩間違えば大愚作になるところだった。
知性を持ち始めたビッグコンピューターに社会の異分子として消去されることを恐れた超能力者達が、
コンピューター管理社会を破壊しようとするお話である。
知性の定義も人間の分析もJ・P・ホーガンの「未来の二つの顔」に比べればお笑いである。
ディクスンの魅力は主人公が障害者でありながら、主人公が人類の為に尽くす姿勢を描くことである。
本書の主人公はテレパスであるが、片腕の男であり、
更に”自分の身を守る為の利己本能”を持ってないのだ。
ここをもっと追求した方がより明確な反戦SFになったろうに惜しい。
- 作者: ゴードン・R・ディクスン,石田善彦
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1984/03
- メディア: 文庫
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