『ドルセイへの道』 ゴードン・R・ディクスン  創元

NECROMANCER

本書の時代は21世紀、「ドルセイ!」より前のエピソードになる。

ドナルが生まれた軍人惑星ドルセイにまだテラナーが植民以前のお話であり、

本文中にドルセイのドの字も出てこないが、本書は「ドルセイ!」の前編ではなくて続編なのである。

おっとっと!こう書くとラストのドンデン返しが判っちゃうか?

まっ、SFではよくあることである。

結末が良かったからいいものの、本書は一歩間違えば大愚作になるところだった。
知性を持ち始めたビッグコンピューターに社会の異分子として消去されることを恐れた超能力者達が、

コンピューター管理社会を破壊しようとするお話である。

知性の定義も人間の分析もJ・P・ホーガンの「未来の二つの顔」に比べればお笑いである。

ディクスンの魅力は主人公が障害者でありながら、主人公が人類の為に尽くす姿勢を描くことである。

本書の主人公はテレパスであるが、片腕の男であり、

更に”自分の身を守る為の利己本能”を持ってないのだ。

ここをもっと追求した方がより明確な反戦SFになったろうに惜しい。

ドルセイへの道 (創元推理文庫 (679‐2))

ドルセイへの道 (創元推理文庫 (679‐2))