『ドルセイ!』 ゴードン・R・ディクスン  創元

14世紀から25世紀の人類史を描く、”貴公子の系譜”シリーズの2403年からの5年間、
エピソード7から12のどれかのお話である。(え〜い、無責任なw)
それにしてもなんとストーリー展開の速いお話だったのか!
士官候補生ドナル・グレイムはこの一冊で12の恒星系国家の頂点となり、
600億の人民を指導する立場になっちゃうんだよねぇ。
SF御都合主義を字に書いたとはこのことである。
数秒で勝敗が決まる宇宙戦の描写なき描写は科学的でリアルなんだろうけど、
陸戦も含めて作戦だけの戦いというイメージを受けて、もの足りない。
ユニットの初期配置で既に結果を予測できてしまう戦いなんてつまらんよね、ゲームにもならねぇ!
主人公のたてる作戦で連戦連勝大楽勝だもんね。
とにかく架空の人類史を楽しむ一環として本書を読むこと!
こんなエピソードもありました。パチパチ!ドナル、アンタは偉い!でいいんじゃないのw
ドナルのキャラは面白いけどね。
人殺しも美少女救出も論理的に計算して、不可能と判断すれば、
美少女を見捨てて美少女の敵の部下に平然となるし、
戦いが勝ったと判断された時点でいっさいの敵兵を殺すことをやめ、
敵を殺そうとする味方を阻止したりする。
敵味方の関係が二転三転大回転である。
結末をむかえて敵味方の関係が落ち着いた時、結局なんだったんだ?と言いたくなる。
あ、そうか、ドナルの旅立ちの前に家族がドナルに語ったように、
”万物は変化する”ということなんだね。
昨日の敵が今日の友になる可能性もあるんだから、
敵であっても最小限の戦いしかしない方が利口である。
殺さない方が自分に有利になるだろうという反戦SFなのであった実は!(クルチイナァw)

ドルセイ! (創元推理文庫 (679‐1))

ドルセイ! (創元推理文庫 (679‐1))