『魔法株式会社』 ロバート・A・ハインライン 早川文庫SF

表題作と「ウォルドゥ」が併録されている中編集。

ガンダムを論じた記事で知ったものだから、
私は「ウォルドゥ」をパワードスーツの開発物語だと思っていたが、
単純に、ただウォルドゥが「ウォルドゥ」を造るだけの話ではなかったので感動しました。
主人公ウォルドゥは生まれながらにして、筋力が普通人の十分の一しかなかった。
彼にとって生活することは、重労働の繰り返しであった。
ウォルドゥは人並みの筋力が出せる装置を考案した。
その「ウォルドゥ」を着たウォルドゥは次から次へと新しいものを発明していった。
かくしてウォルドゥは金持ちとなり、発明王と呼ばれるようになった。
そんなウォルドゥに、続発する奇妙な事故の調査依頼がくる。
そして物語は意外な結末で終わる。
ガンダムは「宇宙の戦士」ではなくて実は「ウォルドゥ」を参考にしてたんだねw
「ウォルドゥ」を捨てたウォルドゥにはなりたいと思うけど、
ガンダムを捨てたアムロにはなりたくない。
ガンダムに乗り込まなくてもアムロニュータイプに覚醒できたのが明確ならアムロでもよい。
が、人を殺す能力で他人に勝つぐらいなら、
私はハヤトで悔し涙を流す方が良い。
ガンダムではニュータイプの自殺者が一人もでなかった。
「ウォルドゥ」の世界では一人でた。
別に戦争中でもなかったのに、耐えきれずに彼は死んだ。
自分の力が戦場で大量殺人に利用されてるのがはっきりしてるのに、
何故ニュータイプは平然と生き延びたのだろう?
武器にもなる強化服「ウォルドゥ」と、武器にしかならない機動戦術用宇宙服「モビルスーツ」ということかね。
ハインラインのどこが右翼だ!
右翼的なものも書けるというだけさね。
戦争しか描けないアニメプロデューサーとどっちが文化的水準が上かは決まりきっているさ。
私はガンダムのセイラが金髪ヒラヒラさせて戦うのがもの凄くきょわい。
あんな髪型で戦えるか!
丸坊主にセイラ!
セイラが美しいのは生まれつきで仕方ないとしても、
環境に犯されないのは不思議だね。
キャラクター全員丸坊主のアニメがでてきて戦闘しながら、歯の浮く名セリフ呟いたら尊敬してやるw
アニメではセリフでいくら誤魔化しても、キャラが美しいので、戦争描くと戦争賛美にとられる危険性がある。
命よりも外見の美しさを尊重するのがアニメ界です。
いかん、アニメネタに走りすぎた。表題作は、まあ、その、それなりの作品です。
ハインラインが魔法社会を描いたら、ま、こんなとこでしょうかな。
ファンタシイというイメージよりは、ランドル・ギャレットの世界に近いんじゃないかな。
ラストの方でやっと魔界に突入しまして、有名な悪魔も出てきて、
魔法とか悪魔の好きな人でも少しは満足できるんじゃないかな。
ハインライン傑作集は初出がハインライン名義でない作品が多くて、
こんな風にもハインラインは書けたのだ!
と認識できたらそれでいいのじゃないかな。
目くじら立てるようなものも、大傑作もないしね。

魔法株式会社 (ハヤカワ文庫 SF 498 ハインライン傑作集 3)

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