『機動戦士ガンダムMS戦記』 近藤和久 講談社

これが理想的なガンダムワールドである。

主人公はジオンの少年兵である。

アニメと重複するキャラは黒い三連星ジーンのみで、

味方にニュータイプなど一人もでてこないし、

もちろん主人公のフレデリック・ブラウン(ええい、このネーミング欠損症!)

ニュータイプなんかには成りまっせん。
ガンダムとも出くわし、あっけなく自分のザクを破壊されるシーンもあります。

ジャブローでは逃げたから助かったが、

ア・バオア・クーに参戦してしまったため、

殺された可哀想な少年が主人公である。

戦争に巻き込まれたら、普通の人は殺されるのが常識である。

絵が大友克洋調で凄いのである。

超能力を描かない分だけ、

ストーリーは大友克洋より高級である。

反戦反超能力という素晴らしい漫画である。

本書のベストセリフ

ハウンズマン「目の前の敵もこわいが、ほんとうにこわいのは

       自分の中にある憎しみにかられて人を殺すことだ。

       人の命は尊いものだ、たいせつにしなければならない。

       ほんとうにたおさなければならない敵は、

       自分の味方の中にいるのかもしれんな。

       目先のことにとらわれるな、わかったか…

       わかったらこの場は逃げろ」