『「無限」に魅入られた天才数学者たち』  アミール・D・アクゼル  青木薫訳 早川

実無限を考察したカントールに「数学は無限を扱うべきではない」と言った

クロネッカーが悪役扱い(犯人などという表記もある!)される、

数学史的には正史よりの、無限を必要とする解析学(微積分学)者、

集合論者の悲劇に焦点を当てた伝記本だが、これをつまらないと思う人は、

離散数学(代数学)寄りの思考者だと思うので、

クロネッカーや野崎昭弘先生の本を読む事をお勧めする。
無限を考えると神学寄り哲学寄りになって白けるよな。

もっとも数学らしい数学は離散数学でR。

アレフ1、アレフ2、アレフ3、アレフ∞の上にも高次元の∞あるそうでっせ!(笑)

万能の天才リーマンも出てくるが、

実無限の罠に陥らずに、

可能無限として、数直線の正の無限と負の無限を、

無限遠点を持つ球面の北極に収束(リーマン球)したのはかっちょええよな。

2桁の足し算も出来ない人物より、

3桁の掛け算も暗算で行う人物の方が数学の能力は高いという風潮があるよな?

それと同じように、有限しか考えない人より、

無限も計算しようとする人の方が数学者としての能力が高いという風潮があると思うが、

無限を考え続けてカントールゲーデルも最後には気が狂った。

精神、知能を破壊する無限への思考は有効なのか?

自殺する人は馬鹿であるので、

無限を考える人も馬鹿だと思う。

無限は、1、2、3、∞と続く自然数の無限=アレフ0、

2のアレフ0乗を超限基数とするアレフ1=超限順序数1

超限順序数2、超限順序数3、超限順序数∞、

さらに上位の無限として、超限順序数∞のべき乗より大きい無限も設定出来る。

無限集合というベン図を書くと、それより大きい無限が外に見えるので、

集合論で無限を考えたら、ほんと、無限は無限にあってキリがない。

無限集合同士の四則演算も数式化したのがカントールが数学者と言えるところだが、

無限にある無限集合の果てには神がいると思ってたユダヤ教徒カントールはダメポ。

序数が同じ無限集合同士は足しても増えない。

アレフ1+アレフ1=アレフ1である。

アレフ1を冪乗するとアレフ2になる。

計算四則は発見されてないが、

アレフ∞の上位にも無限はあるということである。

なんか馬鹿馬鹿しくなってきませんか?

無限を考える者は、増やす事しか考えないが、

正の無限と負の無限をリーマン球という有限に一点に収束させたリーマンの方が、

かっちょよくて天才だと私は思う。

ユークリッド幾何学の平行線は無限という設定だが、

有限と考えて(閉じているが果ては無い)平面自体を曲げる、

リーマン幾何学を作ったリーマンの思考法の方が面白いと思う。

無限を有限にコンバクトにまとめてしまう発想の方が、

無限を無限に増やすより役に立つと思うよ。

無限に存在する素数複素数座標軸のあの辺(どの辺だっけ)にまとめようとしたリーマン予想

の発想といい、数学者はリーマンが世界一の天才だと思う。

現実社会にすぐ還元出来る生化学者でもあったリーマンの、

解くべき問題を見つけるセンスは良いですよね。

数学基礎論は論理学と集合論が屋台骨。

が、集合論は無限という胡散臭い思考から逃れられないので、

集合論が崩壊する時が来るかもと訳者が突っ込んでいるのが素晴しい!

集合論が崩壊ということは、数学が崩壊するということみたいだが、

一番大事な基礎だが、集合論は数学の1ジャンルに過ぎない。

集合論を使用しなくても、数学全体は美しいままであろうという、

訳者の数学への愛が素晴しい!

青木薫訳は本編がつまらなくても、訳者の後書き突っ込みが素晴しいので、

外れはないよな。

「無限」に魅入られた天才数学者たち

「無限」に魅入られた天才数学者たち