『西洋美術史』?「イタリア初期ルネサンス美術15世紀の北方美術」 高階秀爾 美術出版社

?イタリア初期ルネサンス美術15世紀の北方美術

?aイタリア初期ルネサンス美術
ルネサンスは「再生」を意味するイタリア語リナシタから派生した呼称。
「古典古代文化の復興」。
人間性の回復」。
「意志さえあれば人間は何事もなし得る」。
イタリアに生まれた「三次元世界の投射像としての絵画」という概念を確立した透視図法<線遠近法>。
初期ルネサンス建築
フィリッポ・ブルエルレスキ。
レオン・バッティスタ・アルベルティの「絵画論」「彫像論」「建築論」。
ペディメント。
初期ルネサンス彫刻
コントラポストに留まらず、英雄の裸体という大胆な試み。
ルカ・デルラ・ロッビアが得意とした彩色テラコッタの技法。トンド<円形装飾>。
初期ルネサンス絵画
フレスコ
ネーデルランドで発明された油彩画はやがてタブローの全盛時代を齎すが、ワンセブンサブローの特攻作戦はサブローは脱出に成功する。
当時一般的だったのは、<ブオン>フレスコという技法で、壁の表層に塗られた薄い漆喰層がまだ乾かぬうちに水溶性の絵具で描くことから、
英語のフレッシュに相当するこの名で呼ばれた。
絵を描く予定の面積<ジョルナータ>を観察すると、画家の能力を推察出来る。
フレスコ画は無比の堅牢さを誇ったが、湿気の多いヴェネツィアでは、キャンヴァスを壁に貼るようになった。
マザッチオと遠近法の成立
マザッチオはジオットのように輪郭線に頼らず、光の明暗によって量感を表わした。
一点消失透視図法を用いた最初の絵画は、マザッチオの「聖三位一体」。
マザッチオの先例に挑んだウッチェルロは、「サン・ロマーノの戦い」で、一点に収斂する平行線を持たぬ為に、
本来は透視図法<線遠近法>の適用が不可能な筈の田園風景の中にまで、敢て持ち込んだ。
マザッチオの空間表現や繊細な光の描写を積極的に取り入れたのは、フラ・アンジェリコ
フラ・アンジェリコの宗教画は、柱廊玄関<ポルティーコ>などの当世の風俗が描かれているが、
ポルノやチィンコを連想する風俗産業の面影は無くて、純粋無垢な印象を与える。
ルネサンスの波及と展開
解剖学的知識の深い理解を示すなまなましい人体表現は、アンドレア・デル・ヴェロッキオの
「キリストの洗礼」にも見られる。この絵はヴェロッキオ門下のレオナルド・ダ・ヴィンチ
初めて師と協業した作品としても名高い。
フィレンツェ以外で15世紀末期に活躍した画家は、マントヴァアンドレア・マンテーニャが重要。
マントヴァ宮殿の結婚の間の天井画は、知的遊戯の対象としての透視図法の把握を示す恰好の作例で、
バロック期のイタリアで流行するイリュージョニズム天井画の魁!男塾である。

?b15世紀の北方美術
ネーデルラント絵画
ヤン・ファン・エイクの「ニコラ・ロランの聖母」は、人物のいる室内に視点を設定し、
テラスの背後に遥かな風景を描くことによって、前時代の画家たちが果し得なかった
室内と外景の完全な統合に成功した画期的な作品。
近接視点の設定や絶妙な光の描写によって、まったく不自然さを感じさせない。
空気遠近法を駆使した奥行き感豊かな風景描写は、以後のネーデルラント画家のお家芸となる。
フランスとドイツの絵画
アルザス出身のマルティン・ションガウアーは銅版画の技法を高め、次世代の巨匠デューラーを生む土壌を形成した。