「セザンヌ・りんごで起こした革命」世界美術館紀行オルセー美術館④

また、古いネタを思い出したので今更ながら書く。

オルセー美術館というと印象派ばかり展示してる

世界一知的レベルの低い美術館というイメージを持っていたが、

一番奥の最重要な箇所に展示されている真打はセザンヌで、少しは見直した。

印象派に汚染されたが、ピカソより先にキュビスムで絵を描いたセザンヌは、

知的遊戯の心があって、判り難いというのが逆に判り易いピカソより、

ある意味知的レベルが上かも知れない。

ただのりんごの静物画に思えて、よく見ると、

りんごが重力を無視している、静物画のキュビスムは、

気付いた時は、凄い衝撃ですね。

人間の顔をキュビスムで描けば、変な顔に見えて判り易いが、

ひとつひとつのりんごは普通に見えても、

絵の全体は有り得ない存在を描いた事になるセザンヌはちょっとかっちょええよな。

りんごでなくても梨でも蜜柑でも同じ衝撃を与えることは可能だが、

何故りんごなのかという解説は感動的でした。

芸術家には自由奔放な我侭タイプ(いじめっ子タイプ)が多いと思うが、

セザンヌは中学時代いじめられっ子だったのだ。

セザンヌが苛めにあうようになった原因は、いじめられっ子を助けたからである。

そのいじめられっ子が、助けてくれてありがとうとセザンヌに渡したのがりんごだったのだ。

りんごは、セザンヌにとって友情の証だったのだ。

いじめられっ子セザンヌはもちろん寡黙である。

名誉欲ギラギラの宣伝の巧い印象派と付き合いがあったせいで、

セザンヌもある程度有名になり、

マスゴミが取材に来たが、

セザンヌは自己アピールを一切しない。

モネなら印象主義が如何に素晴らしいかを弁舌巧みにセールスするだろうが、

セザンヌは質問にもほとんど答えない。

くだらねえマスゴミのくだらねえ質問を尊重していちいち答える奴は、

マスゴミを利用して有名になろうとしている名誉欲の塊である。

唯一答えた言葉が、「友情を信じる」というものだったのはいいねえ。

寡黙なセザンヌはもちろん女を口説いたりしない。

しかし、結婚は出来た。

モデルの女性と結婚したが、これはセザンヌの遅筆が幸いし、

同じ時間を長期過す事で、モデルと巧く共鳴出来たらしい。

セザンヌは裸体画を描くとき恥ずかしくて真っ赤になって描いていたそうです。

印象派の魔の手から脱出出来た晩年のセザンヌは、

好きな風景画を描くために、野外で写生する毎日だったのは清々しいねえ。

セザンヌは野外スケッチ中に雨に打たれて風邪を拗らせて死ぬのもいいねぇ。

死ぬ直前まで室内で裸体画を描いていたエロじじいのルノワールと比べてみたまえw