『面白くて眠れなくなる数学』 桜井進  PHP研究所

四色問題等の有名なネタが多いが、著者の数学への愛が感じられる良書。数学は音楽のように美しくて面白いものであると爽やかに教えてくれる良書。最新ネタは超複素数八元数まで出て来ます。十六元数は成立しない。

数学史の正史では小物の悪役のクロネッカーさえ美しい詩人のように描写されてます。科学界最強のヒーローアインシュタインに対しても、無条件に賛美するのではなくて、数学が苦手だったとはっきり指摘しており、著者のバランス感覚は素晴しい!

数学と相性の良い物理学のネタもけっこうあります。

サイモン・シンの『フェルマーの最終定理』で使い走りのおっさんのように描写されていた、フーリエフーリエ変換の素晴しさがよく判るので、フーリエファンは必読。

数学嫌いが多いのは学校での数学教育のやり方が悪いと著者は主張し、
改善策も提示しておられます。

数学記号を中途半端な日本語に訳すので解りづらくなるという著者の分析には納得しました。

著者はサイエンスライターではなくてサイエンスナビゲーターと名乗ってます。

自己主張が大事ニダという、自己顕示欲の塊の作家精神ではなくて、
私の為ではなくて、貴方の為の指標の本というスタンスが感じられる、
爽やかな、万人に勧められる良書です。 

面白くて眠れなくなる数学

面白くて眠れなくなる数学