『天使のゲーム』 カルロス・ルイス・サフォン 集英社文庫

上巻のベストセリフ
「副詞をふんだんにつかったり、やたらに形容詞をつけたりするのは、倒錯者か、ビタミン不足の人間のすることだ」

文学的過剰を否定した素晴しいリーダビリティの文学。スペイン版『二流小説家』←褒めてます。

綺麗なねーちゃんが活躍する冒険ミステリ作家としてデビューした"ぼく"は怪しい出版社から大金のオファーを受ける。

「新たな宗教の聖書となる啓示の書を書いて欲しい」
宗教に拘る怪しい出版社の過去には複数の殺人事件の影が?

宗教的傑作を書くふりしながら、"ぼく"は女子高生の押しかけパートナーと事件に挑む。

超期待したのだが…。

下巻のベストセリフ
虚無主義者なんていませんよ。あれはポーズであって、いわゆる主義ではない。虚無主義者の睾丸のしたに、ろうそくの火でもおいてごらんなさい。連中がたちまち実存の光を見るのが、よくわかりますから」

哲学下ネタギャグも飛び出して好みなんだが、テンポが遅くて読むのに時間がかかった。

ミステリとしては語り手の私の信頼性に疑問が残る。

鮮やかな解決というより、ホラーのように有耶無耶のまま終わった感じ。

四部作の二作目なので、謎を残すのは有りだが、一作目の『風の影』に比較するとだいぶ落ちる印象を持った。

三部四部の大絶賛の声が聞こえてきてから読んでも遅くないと思う。

『風の影』読んでる人は絶対すぐ読んでしまうだろうが、期待しすぎるなよw

天使のゲーム 上 (集英社文庫)

天使のゲーム 上 (集英社文庫)

天使のゲーム 下 (集英社文庫)

天使のゲーム 下 (集英社文庫)