『科学哲学のすすめ』 高橋昌一郎 丸善

新書の『〜限界』シリーズと被ってるネタもあるが読んで損は無い。 不完全性定理の説明は、林晋より、ダグラス・R・ホフスタッターより、野崎昭弘先生より判り易いナイスなアナロジーが登場します。

自然科学や哲学の難しい問題を判り易く説明するのは、高橋昌一郎先生が世界一だと思います。
高橋昌一郎先生の御本を読むと元ネタの本も読みたくなるが、高橋昌一郎先生のまとめは超絶に巧いので、時間が無い人は無理して元ネタ読む必要はないと思います。
逆に元ネタ読んでいても高橋昌一郎先生の本は読む価値あります。
これ読んでポパー先生萌え増大した。
ポバー先生の理想は科学者が目指すべき理想であり、
糞ファイヤアーベントの理想は、反科学陣営に悪用されて、2000年間の科学の英知を無にする可能性のある危険な理想である。
認識論的相対主義で科学者も宗教家も売春婦も同価値とするのは危険である。
科学は人類の平均寿命を延ばした。
この本に引用されている五木寛之は『大河の一滴』で科学で命が助かった人と科学で殺された人の割合は半々ではないかと論理の飛躍をしているが、
カール・セーガンの計算は明確に科学で救われた人の方が多いと証明している。
哲学系の思考者は命の量と命の質を比較したがるが、
スピチュアルな人生の方が素晴しいと思う人は、
科学による西洋医学の恩恵を受けられないアフリカのジャングルの奥地にでも移住して、
精霊さんと超能力で交信し、勝手に若死にして下さい。
どんな権威も認めず、西洋医学も漢方もブゥードゥーの呪術医も同じ価値として、
個人の自由で選択出来る社会が理想とする教えを説いたファイヤアーベントであるが、
晩年の主治医はもちろん西洋医学を勉強した人であり、
最新の西洋医学の治療を受けて死んでいったのである。
ファイヤアーベント自身が「僕はほら吹き」と言ってるのに、
ファイヤアーベントの哲学がギャグだと気付かず、真面目に考える人は人が良さ過ぎるよな。
ウィトケンシュタイン以前の全ての哲学も実は無意味なギャグであるが、
知的ギャグの道化師の自覚があっただけファイヤアーベントはマシな方ではあったが(笑)

科学哲学のすすめ

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