『心に響く三国志: 英雄の名言』 渡辺精一、南岳杲雲 二玄社 

三国志オタクには有名な名セリフばかりが登場するが、
渡辺精一先生の解説は、詩心溢れる韻の解説もあって、
とても楽しくて参考になります。

「破竹の勢い」が「破木の勢い」でなくて、
何故「破竹」なのかの必然性の解説が素晴しい。
「破竹の勢い」の進撃には、敵を攻略するべき時間のデータも含まれているのですよ。
15日以上75日ぐらい、
長くても135日で敵国家を降伏に追い込む猛進撃が「破竹の勢い」でおます。

楊修ももちろん俊英として解説されています。
先読みの天才の楊修を危険人物として曹操は恐れて殺したという、
正しい解釈です。
まあ、楊修を小物扱いするのは、
筋肉馬鹿マンセー三国志の北方三国志ぐらいですが、
楊修自体が鶏肋であるという北方三国志の解釈と矛盾しない、
素晴しい突っ込みをしておられます。
正史オタクにも演義オタクにもトンデモ三国志にも配慮した、
渡辺精一先生の三国志への愛が溢れた解読は素晴しいです。

45個の名セリフが解読されているが、
その全てが、書家南岳杲雲氏の味のある書で掲載されているのも、
漢字オタクには萌える良書であろう。

心に響く三国志: 英雄の名言

心に響く三国志: 英雄の名言