『直観でわかる数学』 畑村洋太郎 岩波書店

形式論理学で、シーケンシャルに、AならばB、BならばC、CならばDとしか
理解出来ない筈の数学を、直観でいきなりAからDを理解しても良いのではないか?
理解出来るようにしてみせましょうという本。
数学は抽象的なので判り辛いので、
具象的なイメージに結び付けて本質を理解させようとしているが、抽象概念で思考するのが数学なので、
具象に頼らなければ理解出来ないのは、そもそも数学脳ではないので、
この本の目差している事は、本質的に無理があるように思う。
具象に頼るとみかん2個とりんご3個は足せない、あくまでも2個と3個である。
判っている人には無駄な本だし、
これで判ったような気持ちになるのは、
そもそも数学的センスの無い人。
この本の存在理由は毒舌ギャグだと思います(笑)
著者は具象化テクニックを使っているが、
中学時代の数学教師の具象例が判りづらかったと文句たれてます。
自分の考える具象例が一番判りやすいという自信はどこから来るのかしらん?
複素数は文系は知る必要がないと、
数学は理系工学者のツール論が展開されてもいるが、
数学は面白いので文系でも知識欲のネタにして下さいと書くのが理想だと思う。
数学や学問に対する愛が著者からは感じられない。
素晴しい数学に感動するのではなくて、
難しい数学を判り易く解説出来る自分が素晴しいと著者は思っているように感じた。
数学啓蒙本としては、著者の人格の浅ましさが透けてみえて、
これはちょっと失敗作な感じ。

http://blog.livedoor.jp/dick21/archives/51998823.html

直観でわかる数学

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