『トップレス・バーの女』 ヒラリー・ウォー ケイブンシャ文庫

私立探偵サイモン・ケイシリーズ。

警察小説の第一人者のヒラリー・ウォー と言えども、

野蛮で破廉恥な事がお約束のハードボイルドでは、

魅力が半減するかもと

読むのを最後にとっておいたこのシリーズだが、

ハードボイルドの常道とパターン外しの匙加減が素晴しい!

キャラ立ちはマイクル・コナリー のハリー・ボッシュより上。

普通の主人公なら絶対しないシチュエーションの妙は

イアン・ランキン のジョン・リーバスものにも匹敵する。

ギャビン・ライアル の主人公のように

ストイックな仕事のプロを描いた傑作。

国連予算で30億部刷って

ジェンダーの呪縛から男を解放するバイブルとして

全世界に配布すべき作品。
仕事じゃないのに、

悪党に輪姦される美少女(推定16歳)を

助ける必要はないという素晴しい作品。

不幸になるおつむ空っぽの美少女を自業自得だと

突き放した大人の為の本物のハードボイルド。

美少女を見捨てて助けるのは、

「こんな女と結婚するぐらいなら、手桶やモップと結婚した方がマシだ!」

と主人公が思ってしまう、

不細工でずん胴で可愛げのカケラもない

中年の大女なのも素晴しい!

本格推理として一応どんでん返しもあります。

リーガルミステリーの要素もあります。

恋愛ゲームをするのは幼稚なガキだと言う視点も素晴しい!

ネオ・ハードボイルドの御三家は、

ローレンス・ブロックのマット・スカダー、

マイクル・コナリー のハリー・ボッシュ

イアン・ランキン のジョン・リーバス、

と言われるが、

ヒラリー・ウォー のサイモン・ケイも入れて、

四天王扱いするべき。

あっ、サイモン・ケイは悪党に簡単に倒されるので

タフガイと認めて貰えないのか?w

正面からガップリ四つに組んで闘えば強いが、

背後から不意打ちされると簡単に気絶するw

三日間の捜査で三回も失神ww

二回は24時間たたないうちにwww

24時間で親子どんぶりするスペンサーよりは、

パターン外しで面白くていいよなwwww

サイモン・ケイはもちろん正義を自称するが、

ネオ・ハードボイルドというより、

ネオ・ノワールとも呼びたくなる。

サイモン・ケイは無神論者でフロイトも信じない素晴しい男。

父なる神に似せられて造られた完璧な男は、

生めよ増えよという聖書の教えに従って、

女を守って自分の子供を妊娠させなければいけない、

人間の行動は神の造った性欲で動いているという、

神もフロイトも否定する素晴しい男がサイモン・ケイ。

女を犯すようでは神の教えを守っている善人である。

本物のハードボイルド、本物のノワールを読みたい人は本書を読め!