『翼とざして』 山田正紀 光文社カッパ・ノベルス
セバスチアン・ジャプリゾの『新車の中の女』へのオマージュ。
"わたし"は殺人事件を目撃する、が、
犯人の姿形は"わたし"だった!?
ドッペルゲンガーかタイムトラベルネタでも使わないと
解決出来ないかと思わせるが、
時間加速現象まで出てくるが、
SFにはならずに見事にミステリとして決着します。
あれの証言には嘘がないが、わざと隠した部分が
ちょっとアンフェアかと思ったが、
魅力的な謎なので一気読み出来るでしょう。
山田正紀 は左寄りと思われるが、
右翼団体を主人公にしたレアな作品でもある。
右翼団体の青年達の青春ドラマでもある。
左翼団体の青年が現実認識の甘い
幼稚な坊ちゃんみたいに描かれているがいいのかw
三島由紀夫しか知らない右翼のお友達に推薦するには
ベストな山田正紀 作品である。

- 作者: 山田正紀
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/05/20
- メディア: 新書
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