『翼とざして』 山田正紀 光文社カッパ・ノベルス

セバスチアン・ジャプリゾの『新車の中の女』へのオマージュ。

"わたし"は殺人事件を目撃する、が、

犯人の姿形は"わたし"だった!?

ドッペルゲンガーかタイムトラベルネタでも使わないと

解決出来ないかと思わせるが、

時間加速現象まで出てくるが、

SFにはならずに見事にミステリとして決着します。
あれの証言には嘘がないが、わざと隠した部分が

ちょっとアンフェアかと思ったが、

魅力的な謎なので一気読み出来るでしょう。

山田正紀 は左寄りと思われるが、

右翼団体を主人公にしたレアな作品でもある。

右翼団体の青年達の青春ドラマでもある。

左翼団体の青年が現実認識の甘い

幼稚な坊ちゃんみたいに描かれているがいいのかw

三島由紀夫しか知らない右翼のお友達に推薦するには

ベストな山田正紀 作品である。